表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パニカル!  作者: タナカ
PR
26/98

学んだこと






「さて!」


 桃ちゃん(と、ついでに伊達教師)の放送が終わった後、湊は八重歯を覗かせとてもノリノリだった。


「何しよう?」


 ………ただし、何も考えてないみたいだが。


「………まぁ、想像はついてた」


 湊が考えなしの勢いだけなヤツであることは、嫌というほど知ってるからな。


「情報交換をしろって言ってたわね」


 八巻が眼がねのレンズを拭きながら言った。


「私、魔ー、委員長は戦術科で、魔術科は湊さん、あなただけなんだけど………」


 眼がねをかけなおす。

 相変わらず怜悧で迫力のある視線を湊に向けた。


「とりあえず今まで何を習ってきたのか、教えてくれない?」

「んー………何って言われてもなぁ」


 八巻の視線にひるんだ様子など微塵もなさげに、ぽりぽりと頬をかいていた。


「………精神修行?」

「何をやったのよ」


 八巻がため息をつきながらつっこんだ。


「座禅とか、滝に打たれたりとか、掃除とか、あと肉は食わしてくれんかったしなぁ………」 

 ようは典型的お坊さん修行か。

 その時の光景を思い出したのか、湊はぶるぶると身体を振るわせた。


「あと1週間続いてたら、ウチは精神に異常をきたしてたかもしれへん」 

「そこまでかい」


 たかが精神修行にあんまりにも大げさにおびえてる湊につっこむ俺。


「ふ、ふふふふ。普通の精神修行ならまだよかったんやけどな」


 何か不気味に笑い出した。 


「まーやんらの宝剣は剣なんやな」

「ん……? ああ」


 ルミナスの剣のことを言っているらしい。 

 背中の剣に眼をやりながら答えた。


「ウチら魔術科の宝剣はスキュアの杖って言うんやけど」


 湊は背中にさげていた杖を取り出した。

 黒ずんだ木でできた杖で、先端には真っ黒な宝玉が鈍く輝いていた。


「コイツを持ってれば初級魔法なら誰でも使えるゆーことでな。そんでまー言うだけあって、呪文となえれば誰でも魔法を使えたことは使えたんやけど………」


 なんか遠い眼をしだした。


「コントロールが全くうまくいかんでなー。いきなり大きな炎が出たり、せや思うたらマッチぐらいの火しか出えへんかったり、変なとこに飛んだりなんか自分に魔法がきたり………」


 なんかパニカルなことが起こっていたらしい。

 声が思いっきり震えていた。


「おかげで下手にフレアを使つこうたら周囲が火の海になったり、ウインド使うたら台風来とるみたいになってな………生きた心地がせえへんかったわー………」


 ………まぁ、中々大変だったのはよく分かった。

 いろいろ思い出して震えていた湊だが、ふと真面目な顔になった。


「いろいろなろうたよ。ノーム、ウォーティ、フレア、ウィンド。

地、水、火、風の初級の4大魔法は魔術科のみんなが使えるようになったと言ってええ。

せやけど、一番おっきなんは……」


 杖を見ながら、湊は真剣な顔で言った。


「これは使い方1つで人を殺せる。せやから魔法の使用についての道徳を一番よー教わった」    

「へー」


 八巻は見なおしたように湊を見た。

 ………なるほど。結構学んできたらしい。  


「そんなとこやな。んで、そっちは?」


 ぱっと顔を明るくして聞いてきた。


「ああ、そうね」


 八巻は少し思案すると、今までの練習や模擬戦のことを大雑把に話した。

 それを聞いた湊は大笑いした。


「アッハッハ! さすがまーやん! ウチが見こんだだけあるな、最後はきっちり周囲を破壊したんか!」 

「壊したのは俺じゃねーよ」


 やったのは悪魔だ。失敬な。 


「………ところで、それ使ったら魔法を使えるんだよね?」


 今まで陰の薄かった委員長が興味深そうに聞いた。


「んーま、そやな。よほど才能がない限りはな」

「ちょっと借りていいかな?」

「かまわんでー」


 興奮した様子で、委員長が杖をとった。

 ぶんぶんと杖をふっていた委員長だが、ふと思いついたのか、呪文を詠唱し始めた。


「ウィガム……」

「「「げ………」」」


 八巻、俺、湊の3人がそろって声をあげた。

 委員長が知っている、唯一の初級呪文。


「ちょ、ま……!」

「ディセルミア!」


 図書館という燃えるもの(本)が山のようにある場所で、フレアの炎が発生した。 










「………けほっ」


 真っ先に止めにいった湊が煙っぽい咳を出した。

 ……幸い、威力が大したことなかった上に、今いる場所は閲覧コーナーだ。図書館の中でもさほど本がない場所だったから助かった。


「次やったら、ただじゃおかないから」

「………ごめん」


 八巻のおっかない委員長はしゅんとした。 








ぎりぎり今日中に投稿……危なー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ