表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パニカル!  作者: タナカ
21/98

心の闇



 ――― 上野洋太SIDE ―――


 霧がなくなったと思ったら巨大なクリスタルが現れてなぜかそこに沢木雹がいて、それを桃ちゃんが切って魔ーがつっこんだらいきなり水晶の周りが真っ暗に、てアワワワワ………!


「なんか大ごとになってきた――――!」


 それでも実況を続けるのは、俺の魂がそうしろと叫んでいるからだぜ!

 見たところA、B、E組生徒ともども、


「何がどーなってるんだ?」「雹さま―――?!」「ちょっと! どさくさにまぎれて変なとこ触んないでよ!」「めめめめっそうもない!」


 てな感じで浮き足立ってはいるが、さしたる被害はないみたいだ。


 桃ちゃんを見ると、真っ黒なクリスタルから少し離れたところにいた。

 持っていた二つの小刀を手前でクロスさせ、なにやらぶつぶつ呟いている。


「ソレイユサネスペルミナ、キュリエストゥラ パシュギェトルー……」


 その声に呼応して、真っ黒になったクリスタルの周りには何本もの光の矢が取り囲みだした。

 しかしそれに対抗してか、クリスタルの周りからも真っ黒な矢が何本も飛び出す。


 こ、これは!


「おおお! 魔法合戦だー! これはかなり面白……へぶ!」

「………うるさい」


 黒部にぶたれた!


「ぶ、ぶったな! 親父にはぶたれたことあるけど! お袋にはぶたれたことなかったのに!」

「………落ち着けバカ」


 親友が冷たい―――!











「………見つからん」


 やはりそうそううまく行くものではないらしく、俺は脱出の手がかりもつかめず暗闇を行ったり来たりしていた。


「………………」


 雹の方は、さっきからもう完全にだんまりだ。

 ………役に立たないが、ま、ほっとけば害はないしいいか。












 ――― 沢木雹SIDE ―――


「さて………」


 また聞こえる。さきほどの声だ。

 

「私を受け入れる覚悟は決まったかしら?」


 受け入れる覚悟………


「私が何か、もうわかってるんでしょ?」


 ……あなたは私の闇の部分。


「そう、私はあなたの裏側」


 ……あなたを受け入れるって、どういうこと?


「私が表に出るってこと。

 私は本当にあなたと1つになり、あなたは解放される」


 ………解放。何から?


「全てよ」


 声がより興奮気味に言った。


「あなたが思いわずらっていることの全て。

 もう何も思い悩む必要はないし、これからは何でも思い通りにできる」


 ………何でも?


「そう。あなたが望むままに。

 道場から離れて普通に暮らしたい? もっとみんなと仲良くしたい? 

 みんなみんな、あなたが望めば全て叶うのよ。何の障害もなく、ね」


 ………想像できない。


「そりゃあ、やってみなきゃね。でも、そうなることは絶対、保証してあげる」 


 ………………


「私を受け入れる。そうすることで、あなたは万能の力を手に入れられるんだから」


 …………そう。

 ………………確信した。


 あなたは私。

 いつも目をそらしてた、泣き虫な私。

 でも、心の隅でいつも泣き叫んでた、いつまでも小さな私。


「……………そう」


 声は少し悲しそうだった。


 ………………

 ………だけど、ごめん。


「え………」


 声が始めて驚きの声をあげた。

 私は不器用だから、あなたの言うことばかり聞いててられない。

 私自身が行動して立派にならなきゃ、あなたを喜ばせられない。


「だから私が出てあげようっていってあげてるのに」


 それじゃダメ。

 あなたはとてもか弱いから。

 だから………怖いけど、それでも私が1歩ずつ進まなきゃ。


 待っているだけじゃどうにもならない。

 自分のことだから。

 誰も助けてくれない。


「そんなことないわよ。私があなたを助けてあげるって……」


 ………それは嘘。

 あなたは私の中の小さな子供。

 そんなあなたにそこまでの力はない。


「なんでよ! 力なら……」


 それは誰の力?


「………………」


 もしその力があるのなら、あなたは私ではない。


「………………」


 でも、あなたは私。

 だから、あなたを後ろからそそのかしている人がいる。

 私と違って、とても強く、怖い力を持った人。


「………………」


 ………誰?


 声の気配が急に怖いものに変わる。

 ぞくり、と背筋を震わせていると………


「雹ちゃん! 魔ーくん!」


 急に驚くほど大きな声が聞こえた。


 






レポートなんて大っ嫌いだ―――!

ってな気持ちで書きました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ