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パニカル!  作者: タナカ
18/98

魔ーのやり方






 形作るのは、力の塊。

 内と外にある魔力をあるだけかき集め、それを収束させる。

 魔力は光となり、光は熱の塊となる。

 内にどんどんたまっていく力を感じる。

 ………まだだ。ぎりぎりまで魔力を溜めろ。

 氷の攻撃で痛んでいく身体を酷使しながら、俺は標的となる雹を見た。

 涼しい表情でこちらを見ているが………


 今に見てろ。

 これをお前にぶつけてやるからな!

 ………ぶつけるのは俺じゃないが。 







***







――― 西村桃子SIDE ――――


 魔ーくん。

 彼がこの学園に入る前から、私は衣食住などちょくちょく彼の世話をしていた。

 だから他の人よりは、彼のことをよく知っているつもりだ。

 魔―くんは以外と苦労人だ。

 魔ーくんは基本的に優しいし、よく人のことを見ている。

 だからああ見えてめったなことで怒りはしない。

 ………だけど。今回は珍しいことに本気で怒ってるみたいだ。

 ………なめられるのをかなり嫌うからなー、魔ーくんは。

 嫌われるのはいいみたいだけど。


「寒い! なんかマジ寒い! 真冬にいる気分です!」


 洋太くんが震えながらアナウンスをしている。


「まぁ、あんなに氷がありますからねぇ……」


 私も寒かったから、今は毛布にくるまっていた。

 ここは普通の場所より魔法の影響をかなり受ける。

 氷の魔法を使えば周囲はすっごく寒くなるし、火の魔法を使えば周囲はすっごく熱くなる。

 魔法空間だからしょうがない部分はあるが。


「ってああ―――!」


 洋太くんの突然叫んだ。

 闘技場では、魔ーくんが持っていたルミナスの剣を手から離していた。


「宝剣無くなった! どーすんだ魔―――!」


 その通りだ。

 ルミナスという宝剣は肉体強化の魔法を自動的に、しかもより強く行ってくれる便利な剣だ。

 それを手放した。

 それは今まで存在した肉体強化能力が無くなることを意味した。


「………まぁ、何か考えがあるのでしょうが」


 そう呟いたが、正直今の魔ーくんは普通の人間と同じだ。

 あ………


「魔ー吹っ飛んだ―――!」


 雹ちゃんの 剣戟(けんげき)に弾かれて、魔ーくんが観客席の方に吹っ飛んで行った。







***







 ルミナスの剣を手放したのは、剣が少しでも魔力を吸い出すのを防ぎたかったからだ。

 そして十分な魔力が溜まったと考えた俺は、わざと攻撃をまともにくらって吹っ飛んだ。

 

 軌道修正して………よし!


「きゃあ!」


 俺は雹の剣を利用して、見事に観客席。

 今井のいるところへ吹っ飛んだ。


 ドゴ!


 俺と今井はもみくちゃになって倒れる。

 あーいてー。


「麻衣ちゃん?!」


 八巻が慌てた声をあげる。


「ちょ、ちょっと……! 何すんのよ!」


 観客席の椅子に半分埋まった状態で、今井が叫んだ。


「………うっせぇ、ペチャパイ」

「は………?」


 俺は今井の胸に手を置いた(・・・・・・・)状態でぼそっとそう言った。

 うむ。すがすがしいぐらいにぺったんこだな。


「あ…………」


 みるみるウチに今井の顔が高潮する。


「なあんですってぇえええええええ!!!」


 どっかーん! ってな感じで勢いよく起きあがる今井。

 俺はその被害に合わないようにすぐに立ちあがった。


「こぉんのおおおお!」


 ぶおん!


 パンチを繰り出す今井だが、怪我してるとはいえあんなヘナチョコに当たる俺ではない。


「バーカ」

「くぅぅぅぅぅぅ!」


 今井は涙目になってこちらを睨むと、背中からルミナスの剣を引き抜いた。


「ヴィガムディセルミアアアアアア!!」


 今井の怒りに呼応するかのような火の玉が俺に向かって発射された。







***







―――沢木雹SIDE――― 


 …………?


 獲物が逃げた。

 痛めつけて遊んでいたのに、急に吹っ飛んでいった。

 吹っ飛んでいった先をじっと見ていると、何やら喧嘩が始まっているみたいだ。


 ………何?


 困惑していた私だったが、目の前にいきなり現れた火球を見て。

 困惑が瞬時に危険信号に切り替わった。




 



***




 



 くくくく………ナイスだ今井。

 俺は闘技場に向かって火球と一緒に飛びながら、沸きあがってくる笑いを堪えきれないでいた。

 ちょっと挑発してやったら、今井は見事に乗ってきた。

 それが狙いだった。


 面倒な氷は溶かすに限る。

 だが、不都合なことに俺の身体は魔力はあっても呪文は使えない、という面倒な身体だった。

 なぜかは知らんが。生まれたときからこうだった。

 ………重要なことをぽろっと言うな? いいじゃん別に。

 なくてもどうにかなるし。


 というわけで今井を利用しよう、というわけだ。

 フレアを使えば、あんな氷いちころだ。

 ………今井の魔力では少し役不足だが。

 しかしそれに俺の魔力を上乗せさせれば話は別だ。

 胸を触った時に、ついでに俺は溜め込んでいた魔力を今井にそそいでいた。

 おかげでゴリオ戦の3倍ぐらいの火球が生まれていた。 


 ふふふ………あの無口無表情のSっ子め。

 目にもの見るがいいわ! 

  

 



 




1話から見直していたら出てくる出てくる誤字脱字………。

これからゆっくり直していくつもりです。

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