サイド 朝倉康平 2
PM6:30 日野警察署・特別捜査本部。
署内は死体遺棄事件の捜査で殺気立っていた。
特に署内の人間達はことの大きさとメンツが潰れたことで怒りと無念さでいっぱいになっていた。
それは朝倉も同じだ。
必死に捜査していたにも関わらず実害が、それも人の命が奪われるという形で出てしまったのだ。
悔しさで唇を噛みしめる。
本来、生活安全課である朝倉は捜査本部にいるべきではない。
しかし、今回の事件に関しては、これまでの目撃情報の精査に土地勘の必要性から数人が参加することになったのだ。
(参加って言っても、雑用というか案内係みたいなものなんだろーけどねー)
不満はあるが、失態は自分たちであるのは間違いない。
なによりここで手柄を挙げればいいだけの話だ。
「朝倉刑事、資料はどうだ?」
組んでいる出向組の先輩刑事に進捗を聞かれる。
「はっ!順調に進んでおります!」
「そうか、できるだけ急いでくれ。少しでも早く犯人に繋がる手がかかりが欲しいからな」
「了解であります!」
険しい表情で言う先輩刑事に、できている分を渡そうとした瞬間、号令がかかった。
「各員!鑑識より検視結果が上がった!
また、被害者の自宅から事件との関連が疑われるモノが発見された!10分後、緊急会議を開く!以上!」
「検死結果と同時にブツも出るとはな。こりゃ犯人逮捕も近いんじゃないか?」
会議に備えながら、朝倉も気合を入れなおす。