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ネームイーター  作者: 河内三比呂
第一章
4/29

サイド 堀内洋児

 AM1:46 日野市某コンビニ前。


 三流雑誌記者である堀内洋児(ホリウチヨウジ)は、

 徹夜明けの疲れを感じながら買ったばかりの缶コーヒーを開け、空を見上げた。

(今日は曇りか・・。)

 雲模様から雨はないだろうと判断し、そのまま家に向かって人気のない道を歩き出した。

 元々この時間になれば少ない人気は、連日続く「白コートの不審者」事件により更に減っている。

 人気のない場所で、一人でいる人間に執拗に名前を教えろと迫る白いコートを着た謎の人物。

 実害こそないが不気味なこの事件は、未だ明確な犯人像さえ分からず野放しになっている。

 愉快犯。

 思想犯。

 流石に14件も続くと、あちこちから憶測や噂が出始めている。

 中には人間でない化け物の仕業だと騒ぐものもいる。

(もうじき、ウチでも扱うかもしれない・・・なっ!?)

 あまりまとまらない思考で歩いていたため、気付くのに遅れてしまった。

 目の前には、白いコートを着た長身の人物。

 その姿を見て思わず動揺してしまう。

 顔が見えない。

 深夜な上、加工しているのだろう。

 妙に眩しく、チラつくせいで顔の部分を判別できない。

 白いコートの不審者は、こちらが認識したのを確認すると口を開いた。

「名前ヲ教エロ・・」

「ひっ・・・」

 思っていたより不気味な声色に情けない声を出してしまった。

 しかし、それにかまわず続ける。

「名前ヲ教エロ・・答エロ・・・名前・・・名前・・オ前ノ名前ハ何トイウ?

 答エロ・・・教エロ・・名前ハ?名前ハ?名前ダヨ!名前!名前!

 オ前ノ名前ダ、オ前ハ誰ダ!?何テ言ウノダ!!?」

 段々じれったくなってきたのか、どんどん語尾が強くなってきている。

 よく見れば何かを手に持っている。

 知らずと汗がにじんできていた。

(どうする・・?どうする・・?)

 距離は近いが、仕事柄走りには自信がある。

 それに、この道は毎日使う勝手知ったる場所だ。

 更にいえば相手はこれまで実害を与えてきてはいない。

 逃げようと思えば逃げれる。

 だが、堀内はそうしなかった。

 これはチャンスだ。

 彼にはそうとしか思えなかったのだ。

 ずっと日陰者だった自分が、三流記者と言われ続けてきた自分が、認めてもらえるチャンスだと。

「オイ・・聞イテイルノカ!!?オ前ノ名ハナンダ!!?」

 苛立ちを隠せなくなってきている白コートに向かって声を出す。

「やぁ、落ち着いてくれ。私は――」


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