第三十五話 再戦! 四天王カイン・ロイネス・ガイスト
リンフレッドと別れて少し経った頃、兵真達は次の部屋に辿り着く。
情報通り、そこには黒紫の鎧を纏った騎士、四天王のカインが床に剣を突き立てその上で手を組み待っていた。
「来たか。……君達がここへ辿り着いたということは、グランは討たれた、か」
「……ああ」
カインの言葉に、兵真は肯定を返す。
リンフレッドがグランハンドを倒せたかどうかは見ていないので確証はないものの、兵真はきっと勝ったと信じている。
「そう、か……。いや、構わないさ。アイツの事だ、きっと強者との闘いに満足して逝ったのだろうな」
どこか寂しさを感じさせるようにカインは呟く。彼にも何か思う所があるのだろうが、その顔は兜が守っており心情まで窺う事はできない。
「一応、聞いておく。カイン、黙ってそこを退いてはくれないか?」
「無駄な事を聞く。前にも言ったが私は彼の剣であり盾だ。彼を害するというのであれば君達を決して見過ごせはしない」
カインは剣を引き抜き、兵真にその切っ先を向ける。
「それと、構わないとは言ったがやはり友の仇を討たせてもらいたい。単細胞で筋肉馬鹿ではあったが、苦楽を共にした男が死んだとあってはどうやら黙っていられそうになくてね」
兵真に向けていた剣を振り払い、カインは名乗りを上げる。
「四天王、カイン・ロイネス・ガイスト、参――」
が、それが終わる前にナナフサが鎧と兜の間を狙い首へと切りかかる。
右手だけを動かし盾で一撃を弾いたカインは、すこぶる不満そうな声を上げた。
「……そうか、貴様はあの時と変わっていない、という訳だな」
「ナナフサ! 流石にそれは変身中の敵を攻撃するくらいしちゃ駄目だとは思う! けど今は任せたからな!」
「ウォン!」
カインがナナフサの斬撃を防御した隙を突いて兵真たち三人は奥の扉へと走る。
それに気付いたカインは驚愕した。
「なっ、貴様ら! 何の真似だ!」
背中を見せて駆ける兵真達へ切りかからんとカインは後を追うが、ナナフサもまたそれを追い背後から攻撃する。
「ぐっ、おのれ野獣風情が……!」
またしても受ければ即座に死の一閃をカインは防ぐ。だがそれで足を止めてしまい、兵真達は扉に手をかけた。
「本当にごめんカイン! かなり卑怯だとは思うけど俺ら先を急ぐから!」
リンフレッドと別れた後、兵真達は方針を決めた。
というより、仲間の方から自分達も四天王と一体一で戦うと提案をしてきたのだ。
確かにこの方法であれば兵真は必ず魔王まで辿り着けるだろうが、仲間が無事に合流することができるかどうかまではわからない。
当然兵真も最初は突っぱねたが、皆の「絶対に追いつく」という根拠の無い熱い自信に負けてしまい、その方向で話を進めてしまったのだ。
「卑劣な真似をッ! 貴様らに誇りは無いのかッ!!」
カインの怒りが耳に痛いが、兵真達は無視して扉を閉じた。
そして、部屋に残されたナナフサとカインの戦いが始まる。




