夏姫とクリスマス その3
短めですが、終わりです。
着いた先で、即行で着替えをさせられた。
赤いマーメードラインのドレス。襟ぐりはホルターネックで、背中は綺麗に空いている。そして、その上から白いオーガンジーのストール。
「……なにこれ」
「似合ってますわぁぁぁ! 流石夏姫さん!!」
興奮気味に話す葛葉に夏姫はかなりどん引きし、思わず後ずさった。
「本日は海外の方も招いてのパーティですの。楽しまなくては損ですわ!」
それは葛葉の理論であって、夏姫は大人しくミサにいければよかった。
ちなみに、葛葉のドレスはワンショルダーのAラインドレスである。ストールを身につけずに、綺麗に着こなしができるのは流石というべきだろう。
会場に入ると一瞬だけ、ざわめきが収まった。
「お、あのコス見てて思ってたんだが、やっぱり似合ってるな」
性懲りも無く、紅蓮が言ってきた。
「……これを用意したのは?」
「あ? そんなもん、俺と葛葉に決まってんだろうが」
決まってるんだ。そんな言葉が出そうになった。
「しかし、アレだな。こういう服を着たんだから、もう少し色気が……」
色気が無くて悪かったな。
その言葉の代わりに、公衆面前で軽くバックで紅蓮を殴り、葛葉を押し付けて夏姫は会場を去った。