第一話 異世界へ
そこは地球とは似て異なる世界・・・
地形などは似ていても、どことなく不穏な空気が漂っている。
???
暗い洞窟の中、人が四人。一人横になっていて、残り三人が囲んでいる。
「はぁ、はぁ、」
「早く手伝え!」
「わ、分かりました」
「急げ!術をはじめるぞ」
「死ぬなよ・・・」
「コウ様・・・」
「行くぞ・・・死魂参段転生!」
日本、東京、七剣高校
「聞いた?あいつ負けたんだってよ?」
「聞いた聞いた。あんなちゃらちゃらしたやつが優勝できるもんか」
ガタッ
「てめえらさっきから俺の悪口うるせえんだよ」
茶色い髪、釣り上がった目、茶色い瞳、シャツだし、ズボンのすそを折っている、
ヤンキーのような男。身長約165センチ。名前は宮本光。
「敵がせこかっただけなんだよ! 俺は悪くねぇ!」
「お前が反則負けしただけだろ」
「俺はやってねー!」
「はい、そこまでだ光。もういいから」
宮本光の親友、服部陰
黒髪、穏やかな目つき、メガネ、ビシッとした服装。まさに天才くんのような格好。
「ちっ行こうぜ」
「お前はなんでそんなによくもめごとをおこすんだよ・・・」
「だってあいつらが・・・」
「まあ、お前の気持ちは分かるよ。」
「分かってくれるのはお前だけだ」
「無実の罪を着せられてぶちぎれて相手をめったなぐりにすればそれは反則負けだな・・」
「あいつが悪いんだぞ!」
「はいはい。分かってるよ」
「いつもそれだ」
「お前ももう少し短気じゃなかったら大丈夫だったかもな」
「ちっ、お前も俺を責めるのかよ。俺はもう帰るぞ」
「あっ、おい!」
夕暮れの中寂れた細道を通って帰る光。
先日、剣道の試合で決勝まで進んだが相手がわざと転んで足払いの反則を取られた。
短気だった光は相手に怒りそのまま相手を竹刀でめった殴りにして退場させられた。
小学校から剣道を習っていて剣はとても強い。だが、不器用で短気で心は弱かった。
容姿からいつもヤンキーのようだとおそれられ、また、絡まれてきた。
小学校の頃から一緒に剣道を習っていた陰は、中二の夏、車にはねられて剣道が出来なくなってしまい
唯一の友の陰とも距離を感じてしまうこともあった。
その寂しさから剣道もスランプが続いていた。
「おれはもう一人なのかな・・・」
???
「死魂参段転生、壱段目成功・・・弐段目行くぞ・・・」
「よし・・」
「うん・・・」
日本、東京
「んっ・・・なんか聞こえた」
光の下から風が吹き出した
「なんだ・・・?風が・・」
急に地面に穴が開き光を飲み込んだ
光の叫び声とともに光はその中へ飲み込まれていった。
???
光は開いた穴から飛び出した・・・
次の瞬間、鎖が光を取り巻き動けなくなった。
「死魂参段転生、弐段目・・・成功」
「え・・・?コウ様?」
「何を言っているんだ異世界から入れ物を持ってきただけだ。」
「それって異世界のコウ様ってこと?
「お前は話をきいてなかったのか?」
「ユリには言ってない。それよりも黙って次のステップに移るぞ」
「てめえら俺に何する気だ!」
「コウの器を黙らせろ」
「てめえっ」
「はいはい・・・魂封印波」
男の放った波動をうけ光は眠ったように静かになった・・・。
「行くぞ・・・死魂参段転生!」
「てめえっ、俺の話に答えやがれ!」
「なっ、効かなかったのか?」
「こいつ・・・ならば私の術で・・・生者魂葬!」
「いい加減に・・・この鎖を解きやがれ!」
「もう一人のコウ様もすごい・・・」
「なんなんだ・・・この生命力は・・・私の術が効かないとは・・・」
「どうするんだよ!これじゃあ器にならないじゃねーか」
「まずいな・・・これではコウが死んでしまう・・・」
「えっ・・・どうするの・?」
「やむなし・・・このままコウの魂を入れる」
「大丈夫なのか?」
「いくらかの魔力を削って押し込めば何とかなる。」
「それじゃあ力が弱まって失敗するかもしれないだろ
それに成功したとしても魔力が弱くなる」
「成功するぎりぎりのラインまで下げて何とかする。
魔力なら後から戻すことも出来る。今はコウを生かすほうが大事だ。」
「・・・分かったよ」
「コウ様は大丈夫なのよね?」
「くどい!・・・いくぞ!死魂参段転生!」
地に書かれた魔方陣が光だし、横になった男から青白い筋が光に流れていく・・・
「うわああああ・・・」
光が叫びをあげ苦しむ・・
「もう一人のコウ様が・・・」
「黙れ・・・術の最中だ・・・さあ、仕上げだ」
「よしきた!俺の番だな・・・いくぞ!死魂転生封印」
男の手が光の腹に当てられ魔法陣を刻み込む
「ああああああああ・・・」
「ねえ、ゲン様。コウ様の自我ともう一人のコウ様の自我どっちが現れるの?」
「それはコウだろう。あいつの魂の魔力は人間離れしているからな」
「でも、魔力を削って入れたんだろ?」
「それもそうだがあの器の人間がどれほどかによるな。いくら異世界のコウでもコウの魔力は最強だ」
魔法陣の光が弱まった
「術が完成したな・・・鎖を解け・・・」
「あいよ!ユリ、回復頼むぜ。」
「はい、リカバリー」
緑色の光が光を包み込む・・・
「うっ・・・ここは・・・」
「気がついたかコウ」
「ああ・・・あれ、おれは戦っていて・・・その後どうなったんだ?」
「危なかったのよ・・・コウ様・・・生きててよかった・・・」
涙を流しながら話していたが、突如光の体に異変が起きる
「ぐ・・・俺の体を・・・返しやがれ・・・」
「何?!」
光の意識が戻りコウから己の体を取り戻した。
精神世界
「お前俺の体をどうする気だったんだ」
「???何の話だ」
「俺に変な術をかけただろ」
「まさか俺は死んだのか・・・?」
「はっ?」
「死魂参段転生で異世界の俺を器にしてよみがえったのか・・・」
「何?お前が死んでそれで異世界の俺を器にしてよみがえった?なんだそれ・・・」
「言葉通りだ」
「ここはどこなんだ」
「・・・ここは精神世界・・・お前の中だ」
「さっき俺がいたのは?」
「・・・ここはフェアリーワールド・・・お前の世界とはまた別の世界だ」
「わかったから俺の中から出てけ」
「無理だ・・・出たらそう長くは生きられない」
「なんで?」
「俺はいま魂魄だからいま持っている魔力を全部使い切ると消滅してしまう」
「魔力?」
「すべての生命体の生命エネルギーのことだ。魔法使いは魔力を操ることが出来る。
だから魂魄でもしばらくは生きてられるんだ。まあ俺は特別で他のやつより魔力を持っているから
一ヶ月くらいなら平気なんだけど、体に入って魔力を補給しないと死ぬんだ。」
「なら他の奴に入れよ」
「肉体との波長が合わないと長居できない」
「俺なら平気なのか」
「異世界のものとはいえ俺だからな」
「ならしかたがないな・・・でもここは俺の体だからな!お前には渡さん!」
フェアリーワールド
光は目覚め、辺りを見回した。
18歳くらいの男と中学生ぐらいの女の子、そして物凄い年をとって仙人みたいなおじいさん。
「俺は宮本光。よろしくな」




