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七幕 父の思いとハプニング、そして告げられたうつけの初恋

今回は色々すっ飛ばしてますが・・・まあ気にしないでください。(特に利家や長秀の参入とか)



後書きで今後の予定載せます。(展開的な)

竹千代が去り、那古野城も信長による騒がしさ以外は平穏だった。ちなみに毎度宿題を出している紅桜はある意味信長に悪戯をしているようなものだった。


とりわけ、紅桜は毎日信長に絡まれているようなものだったが、嫌な顔せず常に応対していた。時々信長の態度が余所余所しくなるのが気がかりではあったが、敢えて気にしないでいた。


その間、前田犬千代(後の利家)や丹羽長秀が仕官したりもあった。
























そんな日が続いたある日のことである。



「・・・うが―――――――――――――――――――――――――っ!!」

「おや、どうされましたかな信長様?」



自室で突然叫んだ信長に、政秀はいつもの事だと言わんばかりに返す。



「どうしたもこうしたもあるか!!紅桜が出した宿題が難し過ぎて解けない!!」

「宿題・・・そういえば明日までに答えを用意しておくという、あの宿題ですかな?」



「宿題」と紅桜の字で書かれ、下にその内容が書かれた一枚の紙を見て、うんうんと頷く政秀。



「これはこれは・・・紅桜殿もまた無理難題を吹っ掛けたものですな」



その紙に書かれた宿題の内容とは、


『敵陣深く切り込み過ぎて、敵に囲まれ孤立した。その時、討死覚悟で死に物狂いで戦うか、生き恥を晒してでも降伏し再起を図るのどっちの行動をとるか?また、その理由は?納得できる答えを用意せよ』


と、いうものだった。



「だろう!?私としては・・・いや、武士ならば討死覚悟で戦うのが当然だ!だが・・・前に紅桜は生き恥晒してでも降伏して再起を図るのも一つの手だ、と言った・・・」



ふむ、と一拍置いて政秀は信長に問うてみた。



「信長様、つかぬことをお聞きしますが・・・」

「な、何だ政秀、急に改まった様に・・・」



じっと見つめてくる政秀に信長は一瞬たじろいで問い返す。



「もしや・・・紅桜様に惚気を?」

「なっ!?」



政秀に「紅桜に惚れているのでは?」と言われた瞬間、信長の顔が真っ赤に染まった。



「そ、そ、そんにゃわけにゃいだろうっ!?か、か、仮にも一家臣とあ、あ、主の娘、つ、釣り合わないのが目に見えるだろうが!!」

「信長様、少々落ち着かれた方が・・・」

「う、うう、五月蝿い五月蝿いぃっ!!」



ガタっ、と音を立てて立ち上がる信長。



「信長様、一体どちらへ?」

「風呂だ!風呂に浸かって疲れを抜きに行くだけだ!!」

「待たれよ信長様!今は・・・っ!・・・行ってしまわれたか・・・今は・・・







































まだ紅桜殿が入浴中だということをお伝えしようとしていたのだが・・・」



































信長が部屋で頭をうならせていた頃から話は遡る。



「・・・おや、信秀様」

「鬼頭か」



丁度開いているだろうと思い、風呂へと向かった時、先客がおり、その先客が信秀だった。



「失礼、信秀様が先客としておられるとは思わず」

「いや、一人風呂に人が恋しいと思った頃合いにお前が来た。非礼は問わぬ、少々・・・この年寄の話を聞いてはくれぬか?」

「・・・私でよければ。ですがその前に体を洗うだけ洗わせていただけますか?」

「構わぬよ」



信秀からの許可を(一応)もらい、体や頭を取り合えず洗う紅桜。そこだけは几帳面と言わざるを得なかった。体など洗い終えた紅桜は「失礼して」という一言と共に、湯船に浸かった。ちなみにこの入浴スタイルは紅桜が「既に歴史とは違っている点があるのだから」という踏ん切りをつけて織田家限定で教えたのだ。無論大評判だった。ただ、城の一階部分にあるという問題点はあったが、誰も異を唱えなかった当たり、高評価なのが伺える所。さらに余談だが、紅桜は牛脂石鹸をも開発していた。



「・・・さて、年寄の話なのだが・・・紅桜よ」

「なんでございましょう?」

「お主から見て・・・信長はどう映る?」

「どう映る・・・とは一体?一人の武将として見て、ですか?」



質問の意図が読めず、聞き返す。そこから返ってきたのは、思わぬものだった。



「いや、異性として、だ」

「・・・へ?」



その思わぬ問に間抜けな声を上げてしまう紅桜。



「あ奴も元服を済ませた織田家の人間、そろそろ誰かの嫁に入るか婿を取らねばならぬのだが・・・あ奴も誰かに気があるのか、そういった話を一切せぬのでな」

「は、はあ・・・」

「あ奴はお前から見て女としての魅力があるのか、が気になってな。それに・・・」

「それに?」

「・・・いや、忘れてくれ」



最後の『それに』が気になるが、忘れてくれと言われたため、聞いてないことにした。



「・・・そうですね、多少の苦言を許していただければ・・・」

「本人が聞いているわけでもなかろう」

「では。・・・まず容姿からすれば男受けはまずいいかと」

「ほう?」

「ああ、私に下心はありませんから。それで性格は・・・一つ、お聞きしても?」

「ん?」



紅桜は信秀に向かって自分の思う所を言った。



「信長様は・・・ひょっとして自分の本心を騙っているのでは?」

「・・・なぜそう思う?」

「これは私の憶測に過ぎませんが、まず自分の呼称に使う「あたし」がどこか無理に使ってるような感じがして・・・それともう一つ、たまに何時もの勝気な感じとは違うような姿を見かけることがあるのです」

「・・・ふむ・・・」



信秀は少し黙りこんで紅桜に告げた。



「・・・鬼頭・・・いや、紅桜」

「は、はっ!」

「娘を・・・信長を頼むぞ・・・。あ奴はあのような勝気でいてその実他の誰よりも非常に脆い。人の死に直面した時は・・・それも親しき者が死んだ時はあ奴は三日・・・やもすれば永久に立ち上がれなくなるだろう」

「・・・」

「その時は・・・一番近くにいられる時間が長いお前があ奴を導いてやってくれ・・・」

「・・・御意に」



信秀の最期の懇願とも取れる言葉に、紅桜は深く頷いた。





























その後、信秀は風呂からあがるが、紅桜はまだ湯に浸かっていた。



「・・・ふぅ・・・信長は宿題をやっているだろうか・・・?」



一気に疲れが流れ出るような感じを覚え、思わず眠気に襲われた。・・・その時だった。



〈・・・まったく・・・紅桜の馬鹿・・・あんな難しい宿題出さなくても・・・〉



突然女性の声が聞こえてきたのだ。当然慌てる紅桜。隠れる場所は・・・湯船の中、ただそこだけ。



「すうぅ・・・ふっ!」



大きく息を吸ってざぶんと湯船の中に沈み込んだ。見つかったら何されるか分からないからだ。そして隠れると同時に引き戸が開け放たれた。


































「・・・けど・・・このお風呂・・・だっけ?このやり方を考えてくれたことは嬉しいな・・・えへへ♪」



嬉しそうに風呂に入る信長。だが湯船に浸かろうとしてあることに気付いた。



「・・・そうだった、体洗ってないや」



入れかけた足を上げ、浴槽から離れて体を洗い始める信長。そんななか、紅桜はどうにかして脱出できないか、と思案にふけっていた。勿論、木製の蓋の下でどうにか呼吸する術を得ながら。



(・・・どう出る?このまま思い切り出ても足音や気配で信長に見つかって速攻殺されるだろうし、かといってここでじっとしていても何れ見つかる・・・)



思慮に耽っていたら事態は動いていた。信長が体を洗い終わったらしく、体に湯をかけている音が聞こえてきたのだ。



(マズい!幾ら蓋の下だといっても高さが近けりゃバレる!!)



バシャ、という音と同時に再び潜る紅桜。そして鼻歌交じりに湯船に入る信長。濁り湯なため隠れている紅桜は目を凝らしても見えづらいのが唯一の利点だった。



「ふぅ~♪・・・ん?」

(やばっ、バレたか!?)



ぐーっと体を伸ばした時、ふいに信長が何かに気付いた。その一瞬で紅桜は危機を感じる。



「・・・誰か・・・いるの?」

(っ!?)



普段の信長からは想像もつかないほどの乙女満載な声。それに思わず吃驚してしまう紅桜。



(・・・危ないっ!もう少しで空気吐き出しちまうところだった!!)



おとなしく沈んでいたが、さらに事態は悪化する。信長が近づいてきたのだ。



(~~~~~っ!!と、とにかく逃げ・・・)



まだ奥に隠れられるスペースを確認した紅桜はすっと後ろに下がる。



「っ!」



しかし、それがまずかった。誰かいるのか、と思っていた信長が誰かいる、と確信してしまった。・・・が。



「きゃあっ!?」

(・・・え?)



不意に聞こえた悲鳴。紅桜が呼吸がやばいと思って少しだけ顔を出した時、目の前に迫っていたのは・・・信長の体。



「もがぶっ!?」



湯船の中で足を滑らせるという器用な事をした信長はそのまま紅桜の上に倒れ込み、紅桜は信長の双丘の間に顔をうずめられ完全に窒息状態になった。



(い・・・息が・・・っ!!)



信長に下敷きにされ、もがく紅桜。必死になって掴んだのは・・・



「ふにゃぁっ!?」

(くぁwせdrftgyふじこlpっ!?)



信長の豊かすぎる胸だった。



「・・・せやぁっ!!」

「ぶはぁっ!?」



急に起きあがった信長に引き上げられ、ようやくまともに呼吸ができた紅桜。



「ぜはぁっ、ぜはぁっ、ぜぇっ、はぁっ・・・」

「・・・紅桜・・・何でお前がここにいる・・・!?」



呼吸を止めていた、ということで軽い酸欠状態になっていて、大量の酸素を肺に送り込んでいた時、信長から震えるような声で問われた。当然紅桜は被害者の側。



「お、お前が、俺が入っていることを確認もしないで入ってきたからだろうが・・・はぁっ・・・!」

「・・・?」



大事な部分を隠しながらも、信長はある疑問を持った。



「・・・紅桜・・・今言葉がいつもと違ったぞ・・・?」

「・・・っ!(しまった!急なことだったから元々の口調に戻った!?)」



慌てて口を抑えたが、既に出た言葉は永久に消えないもの。・・・だが、信長の見せた行動は予想を超えたものだった。



「・・・紅桜が・・・竹千代にすら見せなかったものを私に見せてくれた・・・」



顔を赤くして、しかし嬉しそうに言う信長に、紅桜はある確証を持った。



「・・・それが「本当の織田信長」なんだな・・・」

「ふえぇっ!?え、その、あの、ち、ちがっ」



まるで図星だ、と言わんばかりに言葉を紡げなくなる信長。紅桜はそんな信長に対し今までのイメージを崩していた。



「・・・いいじゃねえか、普段の討つけと呼ばれる信長も、今俺の前にいる信長も「織田信長」なんだから」

「・・・え?」

「それに、お互い「本当の自分」を見せあった瞬間なんだからよ」

「あ・・・」



頭に手を置かれ、一気に顔が真っ赤に染まる。そこはかとなく嬉しそうに見えたが。



「そ、そう、だね・・・」



信長も納得したようで小さく頷いていた。




































その後、数分の沈黙が流れた。原因は簡単、恥ずかしさから。が、その沈黙は信長が破った。



「あ、あのね、紅桜・・・」

「どうした?」

「・・・その、わ、私のこと・・・ふ、二人きりになった時だけだけど、姫香って・・・呼んでほしいの・・・」

「・・・姫香?・・・それって・・・親名か?竹千代で言う所の織姫のような?」



聞き返した時、信長・・・姫香は小さく頷いた。



「・・・分かったよ、姫香」

「・・・!」



「姫香」と呼んだ時の彼女の顔はぱぁっ、と花が咲いたかのような笑顔だった。



「だったら、俺も親名のようなものを教えておかないとな・・・そうじゃないとフェアじゃないか・・・」

「・・・ふぇあ?」

「あ、いや、公平さに欠けるってこった。端的に言えば、俺の本当の名前だな」

「本当の、ということは・・・嘘をついていたの?」


ぷくっ、と頬を膨らませて問う姫香。



「・・・虚言戯言は初めて出会った相手には当然のことだ、と知っていたからな。自分を騙っておかないと後々大変だったから」

「・・・へぇ・・・」



そこまで行って話が脱線しかけていることに気付いた紅桜であった。



「・・・っと、話が脱線してた」

「あ・・・。そ、その、紅桜の本当の名前って・・・?」

「・・・俺の本当の名前は「鬼頭 桜也」だ。紅桜ってのは元々訳ありでつけられてた異名から来てただけだよ」

「桜也・・・ふふっ♪」

「・・・ん?」



突然含み笑いをした姫香に首を向けようとして止めた桜也。理由は単純、向けた瞬間に大きな双丘が目についてしまうからだ。



「桜也と二人っきりの秘密ができたんだもん、嬉しいなって」

「・・・そうか」



ぶっきらぼうに返すが、内心ドキドキしていた桜也。



「・・・桜也、ちょっと・・・目を閉じて欲しいの」

「・・・?なんだよいきなり」

「いいから閉じて!」



一瞬いつもの信長に戻ったな、と思いつつ目を閉じる桜也。瞬間ザブザブという音が聞こえ、そして急に抱きつかれる。そして唇に熱さを感じ目を開けた。


「っ!?」



目の前には姫香の顔。この時初めて桜也は姫香からキスをされたと知ったのだ。そして竹千代よりは早いが、唇が離れる。



「・・・竹千代のを見てたけど・・・やっぱり自分でやるのって恥ずかしいね・・・接吻って・・・」



呆然としている桜也に対し、姫香は恥ずかしそうにしていた。



「・・・けど、これが私の本当の気持ち。竹千代が桜也に接吻した時のあの感じが何かはまだ分からないけど・・・桜也に私が感じてることは分かるの。・・・表の「あたし」と裏の「私」、そのどちらもが「織田信長」だ、と言ってくれた桜也が、毎日私の勝負に付き合ってくれる桜也が、宿題だと言って無理難題を吹っ掛けてくる桜也が・・・私はたまらなく好きなんだ、って」

「そ、そうか・・・」



現世を生きていた頃は色恋沙汰なんて無縁の生活をしていた桜也だったが、このパラレルワールドな戦国時代に飛んでから立て続けに告白され、キスもされた。何て言ったらいいか分からず、淡白に返してしまった。



「・・・そ、それとだな、一つ・・・いいか?」

「何?」

「・・・その・・・あれだ、は、恥ずかしくないのか・・・?」

「はず・・・かしい?せ、接吻はやっぱり恥ずかしいけど・・・」

「そうじゃなくて・・・その、今の姫香の状況・・・」

「・・・?」



言われて姫香は自分の体を見た。一糸まとわぬ状態で、桜也に抱きついている自分の体を。



「・・・~~~~~~~~~っ!!」



一気に顔が真っ赤に染まる。そして・・・



「み、見ないでぇっ!」

「桶っ!?」



かこぉん、と小気味いい音を鳴らして桜也の顔に桶の底がぶつけられた。




「お、桜也の助平!!」

「お、俺は悪くねぇ・・・」



鼻頭を抑え、桜也はそう呻くだけだった。









































その同じ頃。馬に野を走らせる一人の女性がいた。



「・・・佐竹に敗れ、家臣は全て討ち果たされた・・・。私にはもう陸奥に未練はない・・・けれど、せめて・・・








































せめて織田に救いを求めないと・・・」

一応今後の展開としては、数話以内に織田家の転機の一つが起きます。そしてその2話後に信長に取って悲しい事態が。


で、ヒロインは・・・現状予定で8or9名。皆がよく知るあの武将から「あれ、こんな人いたの?」という武将まで。割と幅広い範囲で出ます。・・・そのため、ご都合展開や無理矢理展開は勘弁ということで。



次回は最後に出てきた女性に関わる話です。そして、異世界戦国時代にまた一つ新たなる事態が。



待て次回、ということで。

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