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幕間 時を超える少女 其の一

幕間ショートストーリーです。


ちょっとしんみりしてるかなー・・・と思ったらあれー?な少女が登場です。また戦国乱世荒れますわ、と。

「・・・はぁ・・・」



桜也が元いた世界のとある家のとある部屋。一人の少女がベッドにうつ伏せ盛大な溜息を吐いた。



「桜也君・・・なんで死んじゃったの・・・?」



その少女、時雨奈美は今異次元にいる幼馴染の想い人・桜也の死(仮にそうなっている。仮に、となっている理由は、死体が見つからなかった、ということが原因)を今もなお嘆いていた。



「・・・寂しいよぉ・・・」



この所最近、奈美は学校にすらいけなかった。幼馴染であり、自分が一途に想ってきた相手が(名目上)死んでしまったのだから無理はない、という所。



〈奈美ー、ちょっとくらい出歩いてきなさーい。あんた最近動いてないでしょー?〉

「・・・はーい・・・」



何度も言われ、うんざりしていたためにとぼとぼと部屋を出た奈美。



































「・・・桜也君がいない世界なんて・・・生きてたって意味ないよぉ・・・」



奈美は行く当てもなくどこへ行くかもなく、ただただ街中を歩いていた。周りの男が見てきたり、それを見た恋人と思われる女性につねられたりなど全く気にせず。



「・・・桜也君・・・」



たまたま横断歩道が青で点灯していたため、渡っていた時だった。「危ない!!」と声が聞こえたのは。



「え・・・?」



声のした方を見た時、奈美の目に映ったのは・・・









































自分の方に迫り来る、一台の大型トラック。気付いた時にはもう逃げる手立てもなくなっていた。



(・・・私・・・死んじゃうんだ・・・。・・・けど・・・けど桜也君のいる所に行けるなら・・・








































死んでも・・・いいや・・・)



































刹那、襲い来る衝撃と痛み。意識の落ちる垣間、聞こえた悲鳴。その悲鳴を最後に、奈美の意識は途絶えた。









































しかし、奇妙なことが起きた。トラックに轢かれ、下敷きになったのにもかかわらず、奈美の体が見つからなかったのだ。その時誰もが思った。あの時の少年と同じことが起きた、と。







































「・・・ん・・・ぅ・・・」



気を失っていた奈美は目を覚ました。そして辺り一面を見て一言。



「・・・あれ?天国じゃ・・・ない・・・?」



きょろきょろとあたりを見回すも、あるのは田舎のような風景のみ。



「・・・あれー・・・天国って一面お花畑だって思ってたんだけどなぁ・・・?」



辺りをきょろきょろして見回すと。



「・・・あ、お城だ!ちょっと行ってみよ」



奈美は視界に入った城へ向けて歩きだした。・・・のは良かったのだが。




































奈美は複数の男に囲まれていた。所謂、野盗。



「あうっ・・・」

「ほれ、もう逃げ場はねぇぜ・・・?」



城に向かって歩いていた・・・はずだったのが、気がついたらが移動を逸れていて道に迷い、野盗と出くわしてしまったのだ。



(桜也君・・・!助けて・・・!)



目を固く閉じ、その後の光景を何一つ見ないようにしたその時だった。



「あたしの領内で白昼堂々追剥、それに女一人に男3人・・・馬鹿もいい所ね」



突然聞こえた女性の声。その声には自分を襲っていた男達相手への明らかな侮蔑の声が含まれていた。奈美が顔をふっと上げたその先には、綺麗な栗毛の馬に乗った一人の女性がいた。



「お前、養父やふの又七を知らねえようだな」

「ああ、知らないね」



下っ端と思われる男が女性に自分達の首領の名を告げた。女性はきっぱりと「知らない」と言う。



「首領がそんなくらい名を響かせてる癖に、『肥前の熊』と言われたあたしを知らないみたいだけど?」

「・・・肥前の・・・熊?」



そこにいた奈美を含めた4人が首を傾げた。その中で一番に気付いたのが下っ端に名乗らせていた首領の男。



「・・・もしかして・・・肥前戦国大名・・・龍造寺隆信・・・!?」

「ああ、そうさ。これ以上あたしの国で狼藉を働くってのなら・・・」



野盗に剣を突き付けながら、言い放つ。



「あんた達の首と胴がお別れすることになるよ!」

『す、すいませんでしたぁっ!!』



直後、一目散に逃げ出した男達。それに呆れて溜息を吐いた隆信。



「それでもかまわねぇって突っ込んでくると思ったら・・・とんだ腑抜けだったみたいね。大丈夫?何もされてない?」

「え、あ、はい・・・あ、ありがとうございました。えーっと・・・」

「龍造寺隆信。肥前の国の現当主さ」



隆信は奈美に向けて屈託のない笑みを浮かべた。


なお、奈美は『肥前』『龍造寺隆信』『戦国大名』などのいくつかのキーワードがあったにもかかわらず、目の前にいる女性を『龍造寺隆信っていう人』としか認識していなかった。つまるところ・・・彼女は超がつくほどのおバカ少女なのだった・・・









































その同刻。尾張ではある事態が起きていた。















尾張の当主、織田信秀が病に倒れた。最初に異変に気付いたのは平手政秀。用があって信秀の部屋を訪ねた時、返事がない上に物音がなく、何かあったのでは悟った政秀は徐に襖を開けた。



その先には、明らかに吐血し、倒れ伏していた信秀を見つけ、偶然通りかかった下女に全てを伝え、医師を呼んだのだ。


































尾張が、信長が戦乱の世に足を踏み入れるまで・・・そう日がかからないのは誰の目にも明らかだった・・・

次回は・・・信長にとって大きい出来事の一つ目が起こります。


そして、桜也に託された父の思いとは?


次回をお楽しみに!

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