第3話 推理力テスト『前編』
推理力テストが始まるまで後5分。
「それにしてもよう、推理力テストってどんな問題が出るんだ?」
と深海が言ったら
「バッカじゃないの!? あんた、人の話を聞いてたの? 暗号クイズや殺人事件に関する問題が出るのよ!! これだからバカは嫌になるわ」
と茜は言った。すると深海はきれて、
「んだと!? コラッ!! てめぇぶっ飛ばしてやろうか!」
「あ〜ら、やる気? やってやろうじゃないの!!」
「二人とも落ち着いて! 仲間なんだから、もっと仲良くしようよ」
琴梨は二人をなだめたが、喧嘩をやめようとしなかった。だが、しばらくすると深海と茜は
「………ッチ」
「………フンッ」とお互いそっぽを向いた。なぜいきなり二人が喧嘩をやめたかというと……、亀井静香がものすごい威圧感を出していたからである。
ちなみに光聖と服部は推理力テストをどうやろうか話し合っていた。
そうしていたら、推理力テスト開始時間がきた。
◇◆◇◆◇◆
照明が消え、しばらくたったら1つのところにスポットライトが出てきて、その中には人が1人いた。
「ハロー エブリワン!! 今日の司会者、本間勤です。皆さん仲間は集まりましたか? それでは、推理力テストを始める前にもう一度ルールの説明をしましょう。まずあそこに扉があるでしょう。あそこの中に入り、そこの中にはいくつかのボックスがあります。そして、ボックスの中に入り、オープニングクイズをしてもらいます。その問題を正解した場合、迷路に入る扉に進めます。逆に不正解だった場合、落とし穴に落ちてもらい、そこから迷路に進んでもらいます。ちなみにオープニングクイズが不正解だったものは約5分間ロスがあります。そして、暗号クイズや推理クイズをしながら、進みます。ですが、一つ一つの問題には制限時間があります。わかっていると思っていますが問題を正解しない限り、一生ゴールにはたどりつけません。最後のゴールには、A、B、C、Dの旗のいずれかを取って、終了です。それではテストを始めます。まず、あそこの扉に入ってください」
光聖たちは扉のほうに向かっていた。のだが、琴梨の身体が震えていた。
それを光聖が心配して
「大丈夫か? 琴梨。少し顔色悪いぞ」
「はい。大丈夫です」
すると茜が微笑みながら
「大丈夫! 大丈夫! 琴梨はただ緊張しているだけだから。琴梨は結構緊張しやすい娘なの」
「なら、緊張をほぐさせたりしろよ」
「わかりやした!! 琴梨、えーと、手の平に人っていう字を3回書いて、それを飲み込むの」
「う……うん、わかった。えーっと、手の平に人っていう字を3回書いて、それを飲み込……」「ダメダメダメ! 手を飲み込んじゃだめ!! 手を飲むんじゃなくて、手に書いた字があると思って飲み込むのよ」
「……………うん、わかった」
光聖はこれを見て、
(……少し天然なんだな)と思っていた。
そんなことをしながら、扉の中に入っていった。
◇◆◇◆◇◆
オープニングクイズをする部屋の中には5、6人程度入るくらいのボックスが、いくつか並んでいた。そして、司会者がしゃべりだした。
「では、クイズを始めますので、みなさんはそこにある、ボックスに入ってください」
俺たちはボックスの中に入っていった。しかし、琴梨がまだ緊張しているようだ。とは、いっても、顔には出してないが、俺も(光聖も)緊張しているのだ。だが、同時にこの推理力テストをするのに、ワクワクしている。そんなことを思いながら、ボックスの中に入った。
そして、司会者、本間勤のオープニングクイズが始まった。
「それでは、推理力テストを始めたいと思います。まず、最初は私、本間勤のオープニングクイズを解いてから、迷路に入ってもらいます。それでは、推理力テスト、スタート!!」
画面のディスプレイにオープニングクイズの問題がでた。
◆◇◆◇◆◇◆
オープニングクイズ
とあるホテルで事件が起こりました。
新潟大学の松井教授が殺されていたのです。
財布や時計、ノートパソコンなどの貴重品がそのままであったため、
物取りの犯行でないことはすぐに解りました。
そして司法解剖の結果、睡眠薬が検出されたのと、
首にうっ血した跡があり、さらに抵抗した様子もないことから、
眠らされた上で絞殺された、ということ解りました。
捜査の結果、アリバイと怨恨の有無から容疑者が二人にしぼられました。
1人は加藤道孝という助教授で、自分の論文を松井教授に奪われ、
発表されたことに恨みを持っていました。
もう1人は坂下智樹という、松井教授が勤める大学の学生で、
就職が内定していたにもかかわらず松井教授に単位をもらえず、留年が決定して内定を取り消されたことに恨みを持っていました。
無論どちらも犯行を否認しています。
そんな中、大学の松井教授のパソコンに、一通のメールが届いているのが発見されました。
送信元は松井教授自身のノートパソコンで、送信日時は殺された時刻とほぼ一致しました。
内容は『21+45+13+72+42+41+21』
どうやら暗号のようです。
さて、犯人は加藤道孝と坂下智樹のどちらでしょうか?
この問題の制限時間は5分。
なぜこの犯人なのかその理由も答えてもらいます。
◇◆◇◆◇◆◇
光聖、琴梨、静香、服部、深海、茜の六人はこのオープニングクイズを考えていた。
既に光聖と服部は答えがわかったようである。
そして、同時に
光聖「わかったぞ。この問題簡単だな」
服部「わかったで! こんな問題簡単や!!」
と言った。すると、二人はお互いを見て、先に光聖が
「さすがだな、もうわかったのか」
次に服部が
「そういうとる、お前もさすがやな」
琴梨、静香、深海、茜の4人はまだ解っていないようである。
それもそのはず、光聖と服部の2人は問題を読んでから1分もたたない内に解ったのだから、解ったのが早すぎると言ってもいいだろう。琴梨は2人が解ったのを見て驚いた様子で
「2人とももう解ったの!?」
と聞いた。深海と茜も正直驚いているのである。だが静香は驚いていない様子だった。恐らくこの2人はすぐに解ると思っていたか、問題に集中していて何も聞こえていないのだろう。
「ああ、わかったぜ」
「ワイもわかったで」
と2人とも笑顔で答えた。しばらく黙りこくっていた静香がいきなり
「私も解ったわ!!」
と叫んだ。
「静香ちゃんも解ったの!?」
と琴梨が言った。
茜が少し驚いた様子で
「ふぇ〜〜〜、静香ちゃんも解ったの? すご!!」
深海は怪訝な顔で
「そう言っている、お前はまだわかんねぇだろ」
「それはあんたもでしょ?」
「まぁ、そうだな………」茜はさっさとオープニングクイズを終わらせたいので
「じゃあ、さっさとこの問題を答えて、迷路に入りましょ」
そう言われると光聖は頷き
「ああ、わかった」
そして、光聖、静香、服部の3人はオープニングクイズの解答を始めた。
光聖「まず、松井教授のノートパソコンから出てきた、ダイイングメッセージ『21+45+13+72+42+41+21』だがあれは……………」
服部「あれはやな、五十音の何行、何段を示しているんや!」
静香「たとえば、最初の21なら2行目(か行)の1段目だから か。次の45は4行目(た行)の5段目だから と。って、いうような感じになるの。こんな感じに当てはめていくと『かとうみちたか』ってなるから、犯人は加藤道孝!! と言いたいところなんだけど…………」
服部「問題文に『抵抗した様子がない』って、出てるやろ?被害者 松井教授は眠らされて、絞殺されたんや。つまりや! 抵抗できずに殺された人間が、パソコンのメールで、しかも暗号を考えて送ることなんてできるわけない。そう考えると……………」
光聖「そう考えると犯人が加藤に罪をなすりつけようとしたと考えられる…………だから、犯人はもう1人の方の坂下智樹さんだ」
そういうと画面のモニターに「正解!」という文字が出てきた。画面のモニターがドアに変わった。
おそらく迷路への扉だろう……。
「じゃあ、行くか。迷路に入ろうぜ」
光聖はそういって迷路に入っていった。他のメンバーも光聖に続いて迷路に入っていった。
次回は推理力テストの続きです。
一応、次で推理力テストは終わらせるつもりです。