『愛する事は無い』と言われましたが……
「最初に言っておく、この結婚は義務として引き受けたが私には真に愛する人がいる、お前を愛する事はない、と覚悟しておけ」
結婚式が行われ疲れ切った体にムチを打って初夜に望もうと思ったのですが言われたのはこの言葉でした。
「わかってますよ?」
「え?」
「フローリア男爵令嬢でしたよね? 学院内での浮いた噂は私の耳にも届いてますよ」
私がそう言うと彼レミオ・ロイタスは驚いたような顔をしていた。
私スフィア・グローデンを舐めてもらっては困ります、こう見えても公爵令嬢なのですから。
「学院内での出来事でしたら私も若い時の遊びと思って放置していましたが卒業後もちょくちょくご連絡を取り逢瀬を重ねていたのはどうかと思いますよ」
はぁ〜と溜息をついた。
「し、調べたのか!?」
「当たり前です、私だって不幸な結婚はしたくありませんからね」
幸せになる権利は誰にでもありますからね。
「この結婚は王命である事はご存知ですよね? お互いの家の為になり国の為でもある事も」
「勿論だとも、だが……」
「不本意なのは私も同じです」
「え?」
「どうして最初から愛人を持つ事が確定の方と結婚なんてしなきゃならないのか、この結婚を命令してきた王家を恨みましたよ」
「き、君は私の事を好きではなかったのか?」
「いいえ、ろくに会話もした事が無い方をどうして好きになりましょうか?」
そう、私は結婚式当日までレミオ様とまともに会話した事が無い。
こちらから手紙を出しても無視はされるし聞こえてくるのはろくでもない噂ばかり。
好きになる瞬間なんて1つもありません。
「貴方が言った通りにこの結婚は義務です、そして子供を作るのも義務なのです、でも貴方はその義務を断った。 つまり国に対する不敬です」
私がそう言うと扉が開いて兵士達が入って来た。
「はぁっ!? なんだお前達はっ!?」
「私達の監視役です、私達が何事も無く結婚生活を送れるかどうか国から派遣された」
「そ、そんなの聞いてないっ、て何をするんだっ!? 私は次期公爵だぞっ!」
兵士は無言でレミオ様の腕を掴み身柄を拘束した。
「レミオ・ロイタス、貴殿は王命に逆らいスフィア・グローデンとの初夜を拒否した。 謀反の疑いありと判断し身柄を拘束する」
「はぁっ!? 拒否しただけで謀反だとっ!? 無茶苦茶だっ!!」
確かに無茶苦茶である、だけど今回はその無茶が通用してしまうのだ。
「因みにですが真実の愛の相手であるフローリア嬢は国を転覆させようとしている組織と繋がっております」
「……え?」
「つまり、貴方もその組織と関係していると言われかねないんですよ」
「そ、そんなバカなっ!?」
「既にフローリア嬢は拘束されています、獄中でお会い出来るでしょう、ではお願いいたします」
兵士達に引きずられレミオ様は連れて行かれた。
その後、レミオ様との婚約は勿論白紙撤回になりロイタス家からは慰謝料、国からも幾らか頂きました。
ついでに私の結婚相手は自由に選んでいい、との言質も頂きました、やったね。
レミオ様ですが、潔白を主張していましたが実はフローリア嬢に使った宝石類が組織の軍資金に使われていた事が発覚、無意識的に資金提供していた、という事で有罪とされ鉱山送りとされました。
しかもレミオ様だけではなく他にも子息達がフローリア嬢の誘惑に負け似たような事になりロイタス家を含めて幾つかの貴族家が打撃を受けました。
私との結婚が王命であり監視対象だったから今回の事が発覚したのですが、もう王命に振り回されるのはこりごりです。




