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第三話 混ざり合せの君 前編

「ヒサメ。それが君の名前なのかい?No.13。」

「はい。此処では呼ばれたことなかったから、随分と久しぶりに口にしました。」


 ヒサメ。確かに彼女に似合う名前だと思った。

 優しいまでの青色に映える。

 とても,,,とても,羨ましい。


「とても,,いい名前だね。羨ましいよ。」

「...でしたら名前を考えましょうか?No.5。私が貴方に。私でよろしければの話ですが。」

「....本当に、、、、いいのかい?」

「はい、、、、

答えにくい質問にも答えてもらえたので」


 名前,それを貰えるのか。

 もう貰えないと諦めていたモノ。


 天界はくれなかったのだから、

 いいよね?頂いても。


「じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ。お願いするよ。ヒサメ。」


 とヒサメの名前を口にしながら頼むと、

 ヒサメは嬉しそうに微笑んだ。


「次に安心して話せるその時までに決めても?」

「うん。それでいいよ。ゆっくり考えて欲しい。ヒサメが考える。そのことに意味があるんだからね。」


 そうして話が終わるのを見計らっていたのか、タイミングよくマッディールが近づいて来た。


「実験終了〜,でも良いデータが取れたから、また近いうちに2人にはこの時間を作ることにするよ。だから大人しく戻っててね?」


 と念を押された様に言って、マッディールはカルテを取りながら研究員のいる方へ歩いていき、僕とヒサメはそれぞれの担当の部下の人に連れて行かれた。


....

声が聞こえる。

頭の中に直接話しかけて来た様な声が響いてくる。

優しさを感じないその声に僕は心当たりがあった。


僕が焦がれていたはずの天界の声だ。

声はこんなふうに聞こえて来た。


『お前は異族だ!化け物だ!同胞ではない。もう2度と此方に戻って来ることを禁ずる。』

『不気味だよ。お前の翼は異物を受け入れたせいで欠けているのだ。お前はもう天使ではない。』

『不気味〜何あの欠けてる翼。ダッサ〜』


そう聞こえて来た。僕の胸にその言葉がグサリとナイフが刺さった様に痛んだ。


そうか。やっぱりもう天界には戻れないのか。

分かりきっていたはずなのに、心の何処かではきっと諦めきれなかったのだろうな。


けれど今の今まで告げの声が掛かってきたことなど一度たりともなかったのだ。


............嗚呼、目尻が熱い。

涙が溢れてきた。

別に仲間とか仲のいい天使はいなかった。

けど、やっぱり辛いモノだな。


「No.5、実験の時間だ。抵抗せずに、外へ出ろ。」

「、、、、はい。」


そう。これが現実。

どうしようもない現実なのだ。


僕はいつものように実験スペースへと連行された。

そこにはいつものようにマッディールがいた。


僕が着いたのを確認したのか、

今日はいつもよりも真剣な顔で此方へと来た。


「No.5,今日の実験はいつもとは違って、君の天使の癒しの力を使うよ。」

「えっ,,,,かしこまりました。」

「その力の対象になるのは、

君もよく知っているこの子さ。」

「,,,,,えっ,,,???」


マッディールがその場所へと

案内しながら伝えてきた。

そしてその場所についてマッディールが僕に見せてきたその現状に思わず、驚嘆の声を上げていた。


その対象と言われていた存在とは、、、、


「ヒサメ,,,,なのかい?」

「ゔゔ!!.........ゔゔ!!」


 綺麗な青色の髪の生えている頭に象の牙の様な後ろに沿っている角が生えて、背中には吸血鬼や天使でも悪魔でもない立派な翼が生えており、

指先の爪は人よりも長く鋭利差を増して、

肌はヒビが入り込んで血が溢れて、尾が二尾生えて苦しんでいるヒサメだった。


 一体何が起こっているんだ?

そう思わずにはいられないほどの異常事態だ。


「説明はあとでしてあげるから、まずはこの子の血を止めて欲しい。できるよね?」

「はい,,,,。」


 断る気はないが、この場では断らないのが正解だ。

僕は、コチラを苦しみながら警戒して見ているヒサメのそばに優しく寄って、


右手を翳す。

、、、、そして唱える。

天使としての力を使うための言葉を


「天界よ。万物を癒やす、かの力を僕の行使に乗せたまえ、この者を助けよ。」


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