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第二話 僕と似た‘君’

「,,,えっと、No.13だっけ?」

「はい。、、ここではそう呼ばれています。No.5。」


 僕は、研究場にある外から来た人を出迎える部屋、要はお客様用の対談用の空間で、

連れてこられたNo.13と言われている女の子と話をしていた。とは言っても、会話は長続きをする気配を見せてはいないが。


No.13と言われている彼女は、僕よりも一つくらい下の歳だろうか、大人びているが幼い顔をしている。

濃淡のある綺麗と言われるだろう青い髪をしている。

空色とも捉えれる髪色だ。

瞳の色も似た様な色をしている。


ただ、やはりこの場所にいる時点で気になることは一つ、、、、いや二つほどある。まず、一つ目は、


「No.13。君は、人間なのかい?」

「そう....ですね。人‘だった’と言いますか、貴方とは逆の実験をされているそうです。No.5。」

「、、、、、、、、。」


 No.13が何者なのかについてだ。

No.13は確かに人に近い姿をしているが、もちろん,瞳のこともそうだが何処か人に近いが人とは違う気配をしている。


 右目は眼帯をしていて判別ができないが、僕を見ている左目と同じで瞳孔が猫や龍の様に縦なのだろう。

 

 次に容姿に関して気になる点は、両耳だ。

人の耳だとしたら明らかにエルフや僕らの様な天使もしくは、悪魔の様に鋭い。


「そう,なんだ。博士が僕と似ていると言っていた意味は“実験的に近い”そういうところ,なのかな?」

「,,,,,。分かりません。博士の意思など尋ねる気なんて起きません。」


 それはそうだよね。分かるよ。

マッディールに関しては何を尋ねても無駄になる予感しかしないほど何を考えているのか分からない‘ナニカ’を抱えている様な気がして止まない。


「僕のこと知っているみたいだけど、どうして?」

「博士がよく言っていたんです。No.2と同じで存命の成功例だと。」

「,,,ああ。そうだね。そうか。No.2と同じか。そう言えばそんなこと言っていたな博士は。」


 No.13から訊かれた質問に対して僕は思い当たることがあり、少し納得した声を出して反応する。


「あの,,,No.2からNo.5の間にはあと2人はいたんじゃないんですか?その2人はどうしたんですか?」

「聞かされていないのかい?」

「何がですか?」

「No.1からNo.5の僕までの間にいる実験体で存命なのは僕とそのNo.2だけだよ。」


 とNo.13へと伝えると彼女は驚いているのか少しだけ目を見開いていた。

そして恐る恐るだろう口先を震えさせながら、


「そう,,,なんですか?」

「うん、僕はそう聞いているよ。,,,

ああ、でもNo.1はまだ生きてるかもしれない。」

「えっ,,,,。」


 続けながらいう僕の返答に彼女は一瞬目に光を宿していた。その目の光に希望が見えたのは気のせいじゃないのかもしれない。

けど、それを僕は今から砕いてしまうのだ。


「とは言っても、今は生きているのか分かんないよ。何せNo.1は逃げたってことしか僕は知らないんだ。それも博士や他の研究者達が話しているのを聞いてた程度だから。詳しいことは知らないんだ。」

「、、、、そうなんですか。」


 明らかに落胆したようなトーンの声を聞いて少しだけ、いやかなり申し訳なく感じた。

なんでだろう。この子を悲しませてしまったことに罪悪感を抱いている気がする。


 そして数分ほど話したりしているが、どれもあまり長くは話が続かず、話題もあんまり思いつかないままに数分を過ごしていた。

 

 なんとかそれでも話し続けて、ネタが尽きた時だった。突如としてNo.13が口を開いた。


「あの,,,,No.5。聞きたいことがあります。」

「?どうしたんだい?No.13。」

「No.5は私と逆の実験とマッディール博士は言っていたのですが,その詳細までは聞かされていないのですが、何をされたのか訊いてもいいですか?」

「,,,,,。」


 そう訊かれて僕は思わず口を噤んだ。それはそうだろう。傷口を抉る質問だ。答えにくい話だ。


 けれど、No.13はそれを承知で聞いているのかもしれない。それに先程こちらも傷つけてしまったので、


「いいよ。答えてあげる。僕は、この右耳を見てみれば分かると思うけど,僕の右耳は自分の耳じゃないんだ。、、、、これは人の耳さ。僕は人間の耳を片方移植させられたんだ。憎いところがこの耳の聴力は健全って事かな。」


 と答えた。そう,僕の右耳は、左耳と同じ鋭さを帯びていない。人の耳なのだ。

 どうしてそうなったのかとかいう質問に関してはよく分からないとしか言えない。


だって僕だってその理由を知りたいのだ。

ある日突然捕まって、実験体にされた。

人間は此方の話を聞かず一方的に暴行を加えて来たし、僕の体はマッディールによって捌かれた。


一番痛かったのは、麻酔なしに、右耳を切り取って人間の耳を縫い付けられたことだ。

最初は痛くて暫くは暴れていたから

固定具を着けられて牢屋で過ごした。


そして抵抗することが無駄と感じてから大人しくなった素振りを見せたら、固定具は外れた。


そして気づいた。普通なら異種族の部位を移植されたら何かしらに悪影響が出ても変じゃないのに、


それらが一切なく、

しかも聴覚は無事に機能していたのだ。


「では,

そっちの翼はどうして欠損しているのですか?」

「ああ、これね、これは人の耳を移植してから徐々に欠け始めてきたんだ。痛みも多少はあるんだけど、耳を移植された時よりは全然耐えられる。」


 僕の背中には本来、立派ともいえる巨翼な羽が両方とも存在していたが、今は、左の翼が本来の翼の半分ほどまで欠けているのだ。


 血は出ていない。けれど、痛みを伴いながら、この翼はどんどん欠けていく。

だから飛ぶ時に痛みを生じることになったのだ。

翼にだって神経は通っているからね。当たり前さ。


「、、、、あの、、、その翼に触れてもいいですか?」

「いいよ。」


 No.13は、ゆっくりと手を伸ばして、

 僕の欠けている翼に触れた。そして優しく撫でた。

 彼女の手はとても暖かく、この冷たい様な苦しみの 中で唯一の救いにも思えるほどだ。


「あの,,,たくさん質問してすみません。」

「いいよ。むしろ僕としては助かるよ。」

「じゃあ、次に,No.5は、

どれくらい此処にいるのですか?」

「ん〜,どれくらいかな、僕が此処に来たのが齢10くらいだったから、5年くらいかな。流石に外での数えとズレていると思うけど大体それ位。」

「そうなん,,,ですね。5年もこの地獄で。」


 大体5年とかそれくらいと改めて口にすると、    あっという間と思えた数年に重みを感じた。


 けど、脱走する気力は湧き上がらない。

 脱走しようとしても徒労に終わるだけなのだ。


 飛べば逃げれたかもしれない。

けど今の僕はもう飛ぶことすら不安定な天使だ。


.....死ぬまでずっと此処にしか

  居られないのかもしれない。


「あの,最後にもう一ついいですか?」

「いいよ。何が聞きたいんだい?」

「No.5って、

この呼び方以外の名前ってありますか?」

「無いよ。天界に名付けされる前に此処に来ちゃったからね。」


 No.13は申し訳なさそうに縮こまっている。

 まずい。ここは僕から尋ねよう。


「そういうNo.13には名前があるのかい?」


 そう問いかけると、No.13は小さい声でボソッと、


「ヒサメ」


と言ったのが聞こえた。

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