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第一話“僕“という存在

 地獄...今自分が置かれている状況を表すならばその言葉が相応しい。


「実験No.5!データ計測の時間だ。

 抵抗せずに外へ出ろ。」

「.....はい。分かりました。」


 実験No.5。それが今の僕である。

僕がいる場所はこの国〈カルトッティ〉の何処かということくらいしか分からない。

まぁ、何処だとしてもどうでもいい。

どうしたって外には出られず,

朽ち果てるしかないのだから。


 血や水など様々なものが飛び散り錆びた鉄壁の廊下を乱暴に引っ張られながら僕は歩かされている。

所々の牢屋に他の実験体が捕えられている。


 けれども彼らは僕に見向きすらしない。

なぜなら、死んでいるものもいれば生きていたとしても絶望しきっていて見る気力すら湧かないからだ。


「あっ,やっと来た。No.5。」

「申し訳ございません!マッディール博士。

あとで処罰を、、、。」

「そういうのいいから。

それじゃあ実験を始めようか。」


 長い廊下を渡り終えてつくのは、縦にも横にも大きい部屋。中に入ると、複数の機械や白衣を身に着けた人間が彼方此方に忙しそうにしている。


 僕らが着いたのを待っていたかの様にその人間は少し駆け足気味に寄って来た。


 その人間というのは、僕の身体を変えてしまった張本人であるこの施設にいる人間の中で唯一の能力者の博士。‘マッディール・ラン’という人間だ。


「さてと、じゃあNo.5。前回と同じ実験からやっていくよ。まずは飛行実験ね。このカプセルに入って飛んでみてね。」

「はい。」


 マッディールは、僕のことを一目して指を真後ろにある縦に長い筒状のカプセルに指していた。

僕はその指示通りにそのカプセルの中に入る。


 この場所において僕らは主張する権利を与えられない。ただただ、この人間の実験に協力するしかない。

勿論、僕も初めのうちは脱走しようと企てていた。

けれど、それは無駄に終わる。何故なら、


「あ,一応言っておくけど、協力姿勢がなかった時や脱走しようとしたら首輪の神経毒を注入してもう少し苦痛〈バツ〉を増やすからね。」

「、、、、、、。」


そんなことを許すほど、

この人間たちは甘くはないのだ。

たとえ、

僕が人よりも断然強いはずの“天使”だとしてもだ。


カプセルの中で僕は飛行を始める。

けれど僕は上手く飛べない。

産まれてからの習性ではない。実験の後遺症である。


「...ん〜,No.5飛んでいる時に痛みが走ったりしてるかな?」

「はい、、、、あります。」

「そっかそっか。やっぱり。君に着けている首輪の中の神経パルスに波形が生まれてる。」


 僕の方を見ずに、彼女は質問をしたりその答えをメモに取っている。その間も僕は飛び続けている。

たとえ、

それが激痛だとしても耐えなければいけないのだ。


「ん〜,よしっ!一旦下降して休んでていいよ。」

「....はい。ありがとうございます。」


 と彼女はそう言った。

僕はゆっくりとそのカプセル内で下へと降りた。


ここいらで僕について話そうか。

僕は天使。名前は授かる前にこの場所へ連れてこられたからまだ無い。


天使族...天使族は15歳になる年に

〈天界〉つまり天使や天使に属する種族が生息している場所から名前を授けてもらえる風習がある。


けれど僕は15になるより数年前に

この場所へと連れてこられた。

だから天界から名前を授けてもらえる告げもなく数年が経ってしまっていた。


だから名前はない。

強いていうならNo.5が今の僕を呼称できる唯一の名前と言えるのだろうか。

以上が僕という存在である。


数分なのかはたまた数十分なのか彼女は突然とメモしていたカルテを机の上に置いて僕の方へと来た。

そして僕を見つめて何かを熟考して、


「........よしっ、決めた。次はコミュニケーションの実験をしようか。」

「、、、、?コミュニケーション????」

「そう、君とちょっと似ている実験体の子がいるんだけど、その子と話してみる実験だよ。話して見ることで君たちの間に‘ぱ・・’ができるのか気になるしね。」


と言い出した。彼女が最後の方に呟いたところがよく聞こえなかった。なんて言ったのだろうか。

なんて聞こうとしても無駄なので聞かないでおこう。


それにしても僕と似ている実験体って、

一体何処が似ているのだろうか。


「そこの君。‘No.13’を連れて来てちょうだい。」

「はっ!!畏まりました!」


マッディールは近くで仕事をしていた部下の研究員へと命令した。その研究員は、すぐさま僕らがいる部屋の僕が入って来た扉とは反対側の扉の方へと駆け足で行った。


そして数分ほど経ってからその研究員は、

1人の女の子を連れて来た。


「連れて参りました。」

「うん。ありがと〜、じゃーん。君の後続の実験体の1人、No.13だよー!」

「.....はじめまして、No.5。No.13と言います。」


彼女の眼の瞳孔は、猫や龍の様に縦だった。

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