Ep.00 プロローグ
新連載です。よろしくお願いします。
「国家薬師の秘密のお仕事」(N9044KY)の第二弾です。
第一弾は読まなくてもお楽しみ頂けますが、読んでいただくといっそうストーリーをお楽しみ頂けます。
「フィオナさん! 待って!」
あ、珍しいなぁ。
あのノエル君が半泣きになっている。
ごめんなさいって謝りに来た時みたい。
こんなに男の人が可愛く思えることがあるなんてーって思ってたけど。
「のえるくん、かーわいー」
うふふ。
なんかおかしくなってきた。
前は娼館のベッドの上でさんざん人のこと泣かせた癖に。
焦って脱げかけの私の服を抑えるノエル君の頬が少し赤くなっている。
「のえるくん……、このまま……」
唇を見せつけるようにゆっくりと舐める。
口端に残ったブランデーが、また私の喉を焼く。
涙目の年下男子が、こんなに恥ずかしがっているのって貴重よね。
しかもノエル君、超美男子だし。
指先でそっと、ノエル君の唇をキスするようになぞった。
ノエル君の喉仏がゆっくりと上下する。
ごくりと生唾を飲み込んで、何を想像してるのかなぁ?
「ねぇ……、ほんとうは……」
ノエル君の首に手を回す。
後ろにずり下がったノエル君の手が空になったビーカーをかたりと倒す音がした。
そのまましなだれかかって体重をかける。
「わたしと、こういうこと……したい……?」
ノエル君の力が抜けてへたりこんだ。
しなだれかかっている私も一緒になって床に崩れる。
上から私がノエル君を支配しているなんて。
ふふふ。
顔真っ赤になっちゃって。
もそもそと体重を移動して、ノエル君の腰の上に跨った。
「ま……待ってください! フィオナさん!
そういうこと……したいですけど!
今はダメです!」
「えぇぇ? なんでダメなのぉ?」
「と……とにかく! 一旦離れてください!
この体勢は、いろいろと。その……、まずいんです!」
ノエル君が首まで真っ赤に染まる。
「のえるくんだって、わたしにいっぱいしたよぉ?
あの時の仕返し、したいなぁ」
一生懸命はだけた肌を見ないように両手でガードしている。
顔も背けてはいるけど、目線はこっちなのわかってるんだよぉ。
「こここ……こういう事は! 二人きりの時にしてください!」
「のえるくんに、おしおき、したいなぁー」
ノエル君の両手に私の指をそれぞれ絡めて、床に押し付けた。
あはは。
ノエル君真っ赤だよぉ。
またノエル君が生唾を飲んだ。
ゴクリって音聞こえてるもん。
ちゃんとドキドキしてくれてるんだねぇ。
「ふぃ……フィオナさん!」
とにかく追い詰められて正気じゃなかったんだと、声を大にして言いたい。
私は盛大にやらかした。
なんでこんなことになったのかは正直よく分からない。
でも、この時はもう本当に精神的に疲れてていっぱいいっぱいで。
そしたらまた大事件ですよ。
ほんと、こんなやらかしまでして。
この後、私どうなっちゃうんだろうね……とほほ。