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恋愛日記  作者: 椎葉碧生
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64)紗羽の強い決意

今のあたしは、夏前の、ただ漠然と美羽っちを何とかしようと思ってる紗羽じゃない。


恋をして誰かを大切に想う自分を知ってる。

そんな自分が大好きだって思える自分が居る。

あたしは今最強だと思う。

柊ちゃんや蓮兄の弱さを知って、美羽っちの苦しみを知って、3人が大好きだから

今一番強いあたしが、美羽っちを守れるんだって胸を張って言える。


あたし羨ましいと思ってた。


幼稚園の前で3人で並んだ写真。

3人手を繋いで、真ん中の美羽っちに体を精一杯寄せて横でピースサインしてる蓮兄と柊ちゃん。

その仲間に入りたくて入りたくてしょーがなかった。


美羽っちを守るのはあたし。

3人を昔みたいに頑強にするのもあたし。



ロイが美羽っちを壊したい、そう言ってるのも、きっと、勿論、理由がある。

それは美羽っちとは本当は無関係で、やり場のない憤りを美羽っちにぶつけようとしてるんだ。

そうに決まってる。

だったら、それも丸ごとあたしが引き受けようじゃない。

ロイの事だって、あたしが何とかする。


一瞬、脳裏に樋口の顔が映し出される。

ロイに近づくことを「危険」と判断している彼の意志に逆らって、あたしは美羽っちの為に

動き出そうとしてる。

柊ちゃんが美羽っちより蓮兄を選択した様に、あたしも樋口より美羽っちを選んだ。


美羽っちと蓮兄に追いついて3人で学校の正門を潜る。

「紗羽ちゃん、大丈夫ですか?」

「え?うん全然大丈夫!」

心配そうに美羽っちがあたしの顔を覗き込む。

蓮兄もそれに倣う。その視線と絡み合う。

あたしはきゅっと唇を閉じて、瞼を伏せて、蓮兄より先にそれを解く。


蓮兄も又、今のままじゃ美羽っちを守り抜く事は出来ない。


「おはよう美羽。」

「咲、おはようございます。」

「・・・鉢植え?」

「はい、毎月教室に鉢植えを置かせて頂いています。」


ロイのその笑顔は、「破壊者」を抑え込んだ「理解者」を装う笑顔。


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