51)ロイ、行っきまーす! ってとこ?
”裏庭の焼却炉の近く!倉庫みたいなのが園芸部の部室!!”
真希ちゃんにそう言われ、あたしは駆け出した。
真希ちゃんも思い当たる所は探すと血相を変えている。
2階から1階へ降りる階段の途中、柊ちゃんを見つけた。
「柊ちゃん!!」
あたしは柊ちゃんの腕を掴まえる。
柊ちゃんの周りにいた2年男子がトチ狂ってあたし達をひやかす様な声を上げた。
「美羽っちが居ないの!ロイクンも蓮兄も!何処か知ってる?」
「・・・剣道部の部室は?蓮、ロイと美羽を離そうとしてたから。」
剣道部か・・・。
「解った!園芸部行った後、そっち行ってみる。」
「何でそんなお前焦ってんの?」
「ロイクンと美羽っち、二人にしたらマズイと思うのっ!!」
「マズイって何だ。」
柊ちゃんの声が少し冷たく聞こえる。
「解んないけど、直感っっ!!」
あたしは柊ちゃんを邪険にして裏庭へ直で出れる出入り口に向かう。
園芸部に行くと、中から話し声が聞こえてきた。
美羽っちの笑い声さえする。
あたしは呼吸を整えドアをノックする。
「失礼しまぁす。」
室内を覗き込むと、美羽っちとロイクンがこちらを見ていた。
(・・・美羽っち?)
美羽っちが、ロイクンを恐れているなどとは到底見えない程、いつもの美羽っちだった。
「紗羽ちゃん。これ見て下さい。咲のお母様が育てているお花達の写真です。」
(”咲”と聞こえましたが)
美羽っちに突き出された簡易アルバムの中には、色とりどりの写真がびっしりと詰まっていた。
「やはりイングランドはガーデニングの本場ですね。」
「・・・紗羽、どうしたの?」
ロイクンは頬杖をしながら、あたしを見ていた。
それはそれは、挑戦的な目でした。