39)お宅訪問
「いらっしゃーい。ママの初です♪」
「やぁよく来てくれたね、パパの賢太朗です。」
(名前は要らなくない?)
「・・・初めまして、お邪魔します。」
引いてるよー、樋口引いてるよー。
「この前紗羽ちゃんが樋口君のお家でカレー御馳走になって美味しかったって。
ママも頑張って今日、作っちゃった☆」
バイト終わりでうちにやってきた樋口。
「翠ちゃんと匠クンのご飯どうしたの?」
「昨日から親父、家に居るから親父がやってる。」
「そっか・・・。一緒に居たかったんじゃないの?お父さんあんまり家に帰って来ないんでしょ?」
「16の男がお父さんと居たいと・・・普通思うか?」
樋口をリビングへと案内する。
そのドアを開けて、樋口は絶句してた。
(だよねだよね、驚愕だよね)
「よぉ1年。」
「こんにちわ、樋口君。いらっしゃいませ。」
「・・・。」
樋口があたしを見る。
「・・・だって・・・ママが蓮兄達のママに話しちゃったんだもん。そしたら二人、来るって
聞かなくって・・・。」
「樋口君と紗羽ちゃんがこっちのダイニング。美羽ちゃんと蓮君、柊君はそっちで良いかしら?」
「初さん、手伝います。」
美羽っちはソファから立ち上がり、キッチンへと移動する。
「俺もあっちで・・・。」
樋口が遠慮がちに言うと
「やーん、ママ、樋口君とお話ししたいわ、こっちで良いでしょう?」
とママがプリっとした笑顔で言う。
樋口もつられるように笑顔を作り、”はい”と返事していた。
しかも樋口はパパの隣だった。
こうして並べて見ても、パパと樋口が似てるとこは何一つ無かった。
顔の造りだって全然違うし・・・。
あれほどパパと同じかパパ以上の人と思ってた事が嘘みたい。