3)美羽っちの過去
あたしは右手の人差し指を立て、横に数回振る。
「あたしの勘に狂いは無いのだよ!」
あたしはちらっと振り返り、蓮兄と美羽っちを覗き見る。
「・・・本当に蓮兄、何で美羽っちなんだろ・・・顔も良し、頭も良し、スポーツも
出来て、優しい性格・・・。女なんて色どりみどりなのに・・・。」
「・・・俺は美羽と一日居ると、疲れるけどな・・・。」
「柊ちゃんじゃ無理だよ。寛容が無いから、美羽っちを受け止められないっしょ。」
「蓮に有って、何で双子の俺には無いんだよ、寛容が。有るに決まってんだろっ。」
「二人、二卵性じゃん。」
お隣の幼馴染、岩崎イケメン双子の、蓮兄と柊ちゃん。
柊ちゃんはサッカー馬鹿で、勉強好きじゃなくって、性格も猪突猛進タイプで
女に興味が無さそうで
(恐らく、あたしの事が好きなんだと思うけど。えへ。)
蓮兄はちっちゃい頃から、”美羽を守るのは僕!”って想ってるみたい。
小さい頃、美羽っちが知らないおじさんに声掛けられて、連れて行かれそうになった時に
蓮兄が間一髪のとこで助けてから、美羽には僕が付いていなきゃ的な感じになったらしい。
あ、この話は情報源の一つである柊ちゃんから聞いたんだけど。
「おっはよーー!岩崎ツインズ・甘糟シス!!」
「おはよー真希ちゃん!って、物凄いひっくるめて挨拶しないでよぉぉ。」
もう一つの情報源は、この人。美羽っちの中学時代からの友達の鳴川真希ちゃん。
あたし同様、美羽っちがちょっと人と違うとこが心配な優しい人。
「真希ちゃん、おはよう。今日は昼顔にしたんですけど、どうですかね?」
「良いんじゃない。初夏っぽくて。あ、蓮、ありがと、美羽の鞄。」
真希ちゃんが蓮兄から、美羽っちの鞄を受け取る。