29)改めて気付いた事
「おはよー。」
門扉を閉めて岩崎家に目をやると柊ちゃん一人しか居なかった。
「蓮兄は?」
「中間終わったから朝練やるって言ってた。美羽、それ今月の鉢植え?」
「柊君、おはようございます。ハイ、やはり6月は紫陽花にしてみました。」
「鞄。」
ぶっきらぼうに柊ちゃんが手を差し出す。
「大丈夫です、持てますよ。お心遣い有難うございます。」
柊ちゃんが舌打ちをして、美羽っちから鞄を取り上げた。
それを軽々と自分の分と一緒に肩にブンと掛けた。
「柊ちゃんも何だかんだ言うけど、やっぱり美羽っちに優しいんだね。」
あたしは他意も無くそう言ったのに、美羽っちが
「そんな訳ありません。」
と厳しく反論してきた。
あたしは予想だにしない反応に固まってしまう。
見れば柊ちゃんの顔も少なからず曇っていた。
(あれ・・・)
美羽っちが歩を進めたのであたしも慌てて追いかける。
その後を柊ちゃんが付いてくる形になった。
(あれ?)
何時もの時間の登校で正門を潜ると真希ちゃんに顔を合わせる。
「あれ蓮、どうしたの?」
「朝練って。」
同じ朝に2度も同じことを言うのがいかにもかったるそうな柊ちゃん。
「あぁ大会近いってね。美羽、紫陽花だね。」
「はい。」
美羽っちは何時もにも増して言葉数少なくて、柊ちゃんも後ろを適度な距離で歩いてずっと沈黙を守っていた。
(おかしい)
「真希ちゃん、ちょっと二人で話したいんだけど。」
お昼休み、購買に並んでいた真希ちゃんを見つけ出し、あたしはシャツの袖を引っ張った。
「話って?」
あたし達は屋上に上がって、給水管に凭れかかる。
上履きのつま先にだけ陽が差していて、心地良かった。
「もしかして三角関係?」
椎葉です ♪
お気に入り登録されてる方がいらっしゃいまぁす!ありがとうございますっっ^^
ヤル気俄然出て参りました!!
これからも頑張りますので、お付き合いください。