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⑶『虹の影』
⑶『虹の影』
㈠
いつからだろう、という言葉も虚しく、飛んで火にいる夏の虫、みたいな言葉も浮かびそうな、夜の街のビルとビルの隙間道を、歩いていくような影、つまり、夜には見えない虹、虹に影なんて、有りはしなかったんだ。
㈡
それでも我々は虹を追うのだろうか、分からないな、ただ、虹は空に掛かる時がある、というのは事実であって、事実誤認ではない。ペテン師だって、そう聞かれたら、確かに、虹は空に掛かる時が有りますと、白状するだろう。
㈢
要は、考え方の問題であって、虹の事を深く考え過ぎず、時折、おっ、虹が出たぞ、くらいで良いんだろうと思われる。しかしまあ、虹の影何て言う、意味不明な話を思い付いたものだよ、と、言い放って置きたいのが、心情なのである。