三日月にぶら下がるサナギ
三日月のとんがった先のところ
金色のおおきなサナギがぶら下がってる
金色のサナギは三日月の明かりに照らされて
キラキラと煌めいている
その様子はどこか不思議で
ほんのすこしだけ恐怖を覚える
夜風がひゅうっと吹きすぎた時
もこもこもこっ、とサナギが動いた
どうやら、サナギから羽化しようとしているようだ
ぺりぺりぺり…
サナギがゆっくりと割れていく
その割れたところから
ゆっくりゆっくり…と、白く輝くものが出てくる
ぺりぺりぺり…
ごそごそごそ…
サナギからくしゃくしゃした白く輝くものが
全部出てきた
それはゆっくりと広がっていく
広がっていく隙間から、さらに白い光が漏れ出てくる
くしゃくしゃだった体が…羽が、ぴんとする
白銀に輝く…蝶だ
三日月の先にぶら下がる、脱皮したぺらぺらのサナギ
そしてその脱皮したサナギの先には…美しい白銀の蝶
美しい白銀の蝶は、ぴるるる…と羽を震わせると
ひらり…と三日月から離れた
三日月輝く夜の空
おおきな白銀の蝶は、キラキラと羽を震わせながら
闇へと消えていった……