06:第二章
俺は今、とても厳しい局面に立たされていた。
金が手に入ったことで、いつもより一品だけ多くオカズを食べたことではない。満腹になり満足した俺は、いつものように公園のベンチに横になりダラダラと過ごす。
日が傾いてくると、いつものように日課のスカートめくりをして、眠りにつく。
そんな、変わらない日々を愛していた。そのはずなのに。
(いかんな……)
そう、食欲が満たされたことで、少しだけ性欲がひょっこり顔を出してきた。
人間というのは、欲張りな生き物だ。
100円稼げば1000円欲しくなり、1000円稼げば10000円欲しくなる。10000円稼げば100000円欲しくなるのだ。そう、人間は欲望が満たされると、更なる欲望を重ね、永遠と満たされない生き物なのだ。
どういうことかというと、スカートめくりだけでは満たされなくなったのだ。
経験あるものは少ないかもしれないが、いつでも見上げればパンツが見えるような状況では、パンツのありがたみも減り、パンチラじゃあ満たされなくなってくるのだ。
そうして俺は考えた。触りたい、と。
見ているだけでは、満足できなくなった俺の体は、女性の体に触れたくなったのだ。
しかし異世界とはいえ、他人の体に触れるのは犯罪行為だ。絶対にやってはいけない。もし俺が、その辺の女性を急に触りだしたら、冒険者ギルドの職員が直ぐにやってきて、俺はお縄になる。
そうして思い出すのは、師匠の言葉だ。
『いいかい馬鹿弟子。風の可能性は無限大だ』
『風は、様々なことに活用できる。こうして椅子に座りながら物を動かしたりな』
『風をうまく操れるようになると、まるで手のように形を作ることだって可能だ。こんな感じにな』
そういって師匠は、風の魔法を使い、透明な手を再現して、コップの取っ手と掴み中身を飲む。
『ぶふぅぅ! せ、制御をミスると、今みたいに傾ける角度を間違えて、勢いよく水が溢れてくることもある、気を付けるんだぞ』
その制御が一番難しいんだが。なにより、その風の手は、元は空気のため透明だ。俺にはその手が見ることができないので、再現することができなかった。これだから天才は困る。
思い出した、師匠の言葉。
当時は難しすぎて再現できなかったが、今の俺のエロパワーなら出来る気がする。
(そう、俺は今から風で手を作る!)
そうして、その手で女の子を触るんだ!
俺は、公園のベンチの上で密かに燃えていた。