05
(今日は海の雫が多いな)
群青地でも見つからないかな、そんな風に思って森に入ったら、いつも以上に薬草が見つかる。
ラッキーと思いながら、薬草を採取する。
「なんか今日は、森が静かだな……」
そんな風に一人浸ることもできるくらい、薬草が採取できた。これを換金すれば、一週間は働かなくて済むだろう。鼻歌混じりに森を散策する。
ぐにゃ、と何か踏む。
「ん、おわっ!」
踏んだのはウルフの死体。顔が吹き飛び、ほとんど原型を取り留めていない。
「げぇぇ……靴になんかついた……」
さっきまでいい気分だったのに、死体を踏んだせいで気分が落ち込む。誰だよ、こんなところに死体を放置したやつ。
ウルフの死体は、剥いでも金になるような部分は少ない。ただの踏み損だ。
はぁぁぁ、とため息とつく。
「……帰ろ」
折角なら、今のこの気分を晴らしたい。
(そういえば昔、習った魔法で人を運ぶ魔法があったな)
俺はかつて、とある人に召喚され、その人の魔法を教授して貰っていた。その中で、その人は風魔法に乗って移動をするという、意味が分からない魔法を使っていた。
(俺も習ったけど、結局習得できなかった)
制御が難しく、強すぎても、弱すぎてもダメ。師匠いわく、いい感じで風に乗れとのことだが、天才のアドバイスは得てして役に立たない。
だけど、スカートめくりで風魔法を鍛えた、今なら俺でも出来そうな気がする。
スカートをめくるための、いい感じの風の出力はそれで覚えられたのだ。きっといけるはず。
そう考え、俺は意識を集中する。
スカートより重い人体だから、いつもより強めで。強めで。強めで……
顔を風が撫でる。
(いける――!)
俺は、思いっきり風を吹かせる。
瞬間、風が吹く――。
まるで、突風のような風が背中からふき、俺は勢いよく何かに躓いてこけてしまうような形で、上半身からその場に倒れた。
グチャ! という音がする。
「……」
下に、死体があって良かった。
まるで、背中から棍棒のようなもので地面に叩きつけられたような感覚。
地面に死体がなかったら、俺は体を打ち付けしばらく動けなかっただろう。体は血まみれで気分は最悪だが。やっぱり、この魔法は難しすぎてクソだな。
「……はぁ、普通に帰ろう」
明らかに人間を運ぶには風の出力が足りず、後ろから押されてこけるような形になってしまった。失敗だ。
俺は、トボトボと帰路についた。




