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 その山は、活火山だった。街から遠く離れており火山灰の影響を考え、街は10㎞以上離れている。活火山は管理が難しいらしく、魔物も出現するため街での管理を行っていない。


 標高でいうと1000メートル程度の山だが、木がなく黒い地表で染まっている。


「ガーガーガー」


 その山の周辺を飛び回る魔物がツカツクリだ。鳥類の魔物で体調が約1メートル程度の大きさ、キジのような見た目だ。そんな大きな鳥が、空を飛んでいる。


(異世界ってすげーなぁ)


 かつて師に、ああいう大きな鳥は何故飛べるのか聞いたことがあったが、魔法で飛んでいるとしか教えてくれなかった。一体どういう物理法則で、あの巨体が空に飛びあがっているのか不明である。


 今回の目的はこいつではなく、カミツレだ。地球での植生とは違い、このカミツレは火山地帯にチラホラと咲き誇っており、花と茎部分に薬効を備えている。ギルドにあった薬草本にそう書いてあった。


(おお、結構あるな!)


 管理されている土地とは違い、こういった場所ではあまり人の手が入っていないため、結構な量を収穫することができた。活火山のような山でも、こうして逞しく生き残る植生に感動する。


「ガーガー」


「お、っと」


 薬草を採取するために、少し中まで踏み込み過ぎたか、ツカツクリが反応してこちらに襲い掛かってくる。かつて師匠に鍛えられていた俺は、この程度では動じない。難なく攻撃を避け反撃を繰り出す。おらぁっ!


「ガー」


 一発叩かれたツカツクリは、この場から去っていく。


「お」


チャンスだ。


 ツカツクリという魔物は、その名の通り塚を作る生き物だ。鳥類には珍しく地面に穴を掘り卵を孵す。ツカツクリが去ったあたりを見ると、少しモッコリした土があり、そこを少し探ると中から卵が出てくる。


(こいつの卵は、かなり高値で取引できたはず)


 ギルド職員でない俺が、魔物に手を出し入手した素材を売ると下手すると捕まってしまうため、裏の取引に回すしかないのだが、卵の殻にも一般的には薬効があるはずだ。今回はそれで押し通せるはず。


俺は、満足して顔をあげる。


 そこには、卵を取ったことで怒ったツカツクリが大量にバサバサと羽ばたいていた。

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