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「敵襲! あそこだ!」
決して気を抜いていたわけではない。だからこそ、その言葉を聞いて体は自然に動けていた。
しかし、そんな新人の私より速く動く先輩方。
動きの違いを見せられ、自分がまだまだ未熟なことを痛感する。
しかし、今はそんな自責に囚われている場合ではない。犯人の後を追うと、既に先輩方が取り押さえていた。
「すげぇな……」
追いついてきた同僚のハルトがそう溢す。
しばらくそんな現場の状況を見ていたら先輩から解散を告げられる。
今回のクエストは、自分に足りないものを多く感じるクエストだった。
帰路に飯屋に寄っていく。夕飯はこの街の特産である、パンを使った料理だ。ざわざわしている店内をみると、いつも通りの営業。さっきまであった現場の緊張感や、事件があったことなんてまるでなかったかのような感覚。
こうした非日常が、世の中にはゴロゴロと転がっていることを実感する。
はあ、と小さくため息をつく。結局、今日やっていたことは軽食を食べながら、ダラダラと同僚と雑談をし、お嬢様を監視していただけ。
その非日常に身を置いていたためか、少しだけ肩がこった。
私たちの仕事は、こうした生活の場を守る、そして住民の笑顔を作る仕事。決して表に出ないような仕事もこなしていく。そのためには力が必要だ。
「ま、今回はいい経験になったな」
「……」
この同僚は、いつまで一緒にいるのだろうか。




