プロローグ
働きたくない。
現代を生きている人間の多くが、きっとそう思っているだろう。いや、分からないが俺の周りはそうだった。
そして俺も、それに漏れず現代では身を粉にして働いていたが、どうにかして仕事を辞めれないか。そんな風に思いながら、お金のためにせっせと仕事をしていた。会社に愛なんてない。
そんなある日。俺は異世界転移をした。
転移した当時は『いやっほー』なんて喜んでいた。魔法の世界に転移した俺は、最初こそ意気揚々と魔法を覚え、剣術をそこそこ覚え、魔物の討伐や薬草採取などの仕事をこなしていた。
だが気づいてしまった。
『これ以前と、なんも変わってねーじゃん』と。
そうして俺は働くことを辞め、こうして公園のベンチの上でダラダラ横になりながら、繁華街を眺めている。
「ふぁぁぁ」
あくびがでる。眠気が襲ってくるが、俺はその感情に逆らわない。そのままゆっくりと目を閉じ、日がポカポカと当たるベンチの上で昼寝をする。なぜなら俺はニートだから、そんな悪魔の所業のようなことをしても問題がないのだ。
そうして、そのまま数時間昼寝をしていると、少し日が落ち始める。
今日も、無為な一日を過ごしてしまった。ポリポリと、頭をかきながら眠気を覚ます。ああ、いけない。この時間を逃すと流石にニートな俺でも、後日後悔することが多い。
人間には三大欲求がある。
睡眠欲、食欲、性欲だ。幸いにも俺は食欲は、あまり強くない。睡眠欲がかなり高めで、性欲は中くらいだ。
だからこそ、一日の中で唯一この時間を逃すことができない。
「ふむ……」
今日の獲物を探す。街中には今日の晩御飯を買うためか、そこかしこに貴婦人が歩いている。どこかで夕飯なり材料なりを買って、家で料理と作りながら夫の帰りでも待つのだろう。そんな羨ましい生活は、ニートの俺からすると高望みだ。だから俺は身の丈にあった性欲を満たす。
よし、今日はあの女性にしよう。
俺は、心の中で唱える。目標は彼女の背中から下段にかけて。転移してから、まだ気合が入っていた時期に覚えた、この魔法を使う。
「風よ、強く吹け!」
彼女の後方から少し強めの旋風が舞う。その風の強さは、人間をポンっと背中から押すくらいの強さがある。そんな風が、スカート下方より吹き荒れる。
女性はまだ、悪魔のような風の存在に気づかない。そうして今少しずつスカートが膨らみだす。少しずつせり上がるスカートから太ももが見え始める。その太ももは適度な太さを保っており、とても健康的な色合いをしている。
そこから更にスカートがあがりだす。そこで、ようやく風の存在に気づいた女性が、急いでスカートを抑えるべく手を動かす。しかしもう既に時遅く、肌着まであと数㎝のところまでスカートがまくれ上がる。
そうして抑えた手も空しく、俺は目的のものを目に収めるのだ。
「きゃあっ!」
うむ……俺は、満足して再び目を落とした。