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「そうなんですか。それはよかった! 神官様、お忙しい中こんな時間に来てしまいすみません」
「いいえ、エヴァンズ公爵でしたらいつでも来てくださって構いませんよ。シャーロットちゃんも会いたいでしょうし」
テレンスはそう言いながら、「ね、シャーロットちゃん」とにこやかに言う。豹変ぶりが不気味だ。
私はヴィンセントに向かって笑顔で言った。
「はい、ヴィンセント様に会いたかったです! ヴィンセント様、これからお外に散歩に行きませんか? 久しぶりに二人で歩きたいです!」
「お散歩? それはいいね! 神官様、少しの間シャーリーを連れ出しても大丈夫ですか?」
ヴィンセントは嬉しげな顔でテレンスに尋ねる。
「え、ええ。構いませんよ」
テレンスは若干引きつった顔で了承した。二人になって私が何かヴィンセントに言いつけないか警戒しているのだろうか。心配するくらいなら、あんな扱いしなければいいのに。
「ヴィンセント様とお散歩、楽しみです!」
「ははっ、楽しみだな。シャーリー。神官様、少しだけ行ってきますね」
「はい……。いってらっしゃいませ」
テレンスは引きつった顔に精一杯作ったらしい笑みを浮かべて言う。
私が部屋を出るときには、威圧するように見られた。私はちょっとおもしろくなって、テレンスにひらひら手を振りながら出て行った。
「シャーリー、どこへ行こうか。あまり遠くに行くとまずいよな」
私を抱えたまま神殿の門を出たヴィンセントは、私の顔を覗き込みながら尋ねる。
「そばにある公園に行きたいです!」
「公園か、それはいいな。行ってみようか」
私が頼むと、ヴィンセントはにこにこ顔でうなずいた。
神殿のそばには、たくさんの木々に囲まれた公園がある。真ん中には大きな池があり、その周りを歩けるようになっていた。
まだ早朝なので、人はほとんどいなかった。静かな道をヴィンセントと手をつないで歩く。
「シャーリー、神殿での生活はどうだ? 楽しいか?」
「とっても楽しいです! シスター見習いの女の子三人と仲良くなりました」
「それはよかったな! どんな子たちなんだ?」
「ヘレンとコーリーとマギーって言う子です。ヘレンは三つ編みのしっかりした子で、コーリーはちょっとおっちょこちょいだけどいい子です。マギーは黒髪をポニーテールにした子で、いつも冷静なんです」
「そうかそうか。楽しそうだな」
私が説明すると、ヴィンセントは嬉しそうに笑った。それから明るい声で尋ねる。
「シャーリー、シスター見習いではどんなことをやってるんだ? お祈りをしたりするのか?」
「お祈りをしたり、礼拝堂でやって来た人に挨拶をしたり、招待状に絵付けをしたりしています!」
「うんうん。楽しそうだね」
私がテレンスに言われた通りに良いことばかり説明すると、ヴィンセントは安心したようにうなずいた。
「シャーリーが楽しそうでよかったよ。シスター見習いがおもしろくないようなら、今日のうちに連れて帰るつもりだったんだが……まだ残りたいよな?」
「はいっ! シャーリーは最後までいたいです!」
「そうか……。わかった。がんばれよ」
ヴィンセントは若干がっかりした顔をしながらも、私の頭を撫でて応援してくれた。




