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稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています  作者: 水谷繭
6.シスター見習い

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6-5

「えいっ」


 力を込めると、杖の先から巨大な水の玉が現れる。水の玉はふわふわ浮かんで、汚れた服を飲み込んだ。


「え……!? ちょ、ちょっとなにこれ!」


「シャーロット、魔法が使えるの!?」


「こんな大きな水の玉、見たことないわ!」


 女の子たちは目を見開いて騒ぎ出す。私は杖を動かしながら言った。


「ねぇ、誰か石鹸を持ってきてくれない?」


「え? 石鹸? わ、わかった」


 コーリーが戸惑い顔をしながら、洗濯場まで駆けて行く。私はその間に杖を動かして、ぐるぐると水の玉に閉じ込められた服を動かした。


 コーリーが石鹸を持ってくると、それをぽいっと水の中に放り込む。


 それから私は風魔法に切り替えて、水の玉をぐるぐる激しめに回した。


「ちょ、ちょっとシャーロット! 大丈夫なの!? 服が破けちゃうわ!」


「大丈夫よ。ちゃんと加減してるから。ほら、見てて」


 私はさらに早く水の玉を動かす。それから服を浮かせたまま水の玉を消して、杖をくるくる回しながら風魔法でぎゅっと絞った。水気の取れた服を籠の中に放り込む。


「よし、終わり! これで洗えたわよ!」


「な……っ、今の何……?」


 ヘレンは目をぱちくりしながら、呆然とこちらを見ている。コーリーとマギーは籠に入った服を取り出して、興奮気味に言った。


「すごい! 本当にきれいになってる!」


「シャーロット、あなた何者なの!?」


 女の子たちは私を取り囲み、興奮気味にどうやったのだと聞いてきた。私はちょっと得意になりながら、「ちょっと魔法を応用しただけよ」と答える。


 本当は見習いの仕事をするときは、魔法は使わないつもりだったのだ。


 極力何の力のない子供を装って、テレンスを油断させながら弱みを探る予定だった。けれどこの子たちの純粋さを見ていたら、ちょっと何とかしてあげたくなってしまったのだ。


「ありがとう、シャーロット。私のせいで、またみんな怒られると……」


 コーリーは目に涙を溜めてお礼を言ってきた。私はまたちょっと得意になった。



 その後は、もう私が魔法を使えることはバレてしまったので、自由に魔法を使うことにした。


 掃除も、料理の下準備も、皿洗いも、全て魔法を駆使してあっという間に終わらせた。


 女の子たちは私が魔法を使うたびにすごいすごいと目を輝かせる。


「シャーロットってすごいのね! 大人でもこんなにたくさんの魔法を使える人見たことないわ!」


 ヘレンは感心しきった顔で言う。


「まぁね。私にかかればこれくらいわけないわ」


「本当にすごい! 仕事がこんなに早く終わったの、はじめてよ!」


 ヘレンはそう言って嬉しそうに笑う。コーリーとマギーもすっかりはしゃいでいる様子だった。


「今日の分の仕事が終わったから、休んでも大丈夫ね。ああ、こんなに早くから休めるなんて初めて!」


「いつも真夜中になるまで眠れないものね。朝は日が昇る前に起きなくちゃならないのに」


「ねぇ、休憩室でお茶会しましょうよ! シャーロットにお礼がしたいわ」


 三人はきゃっきゃと話している。それから先ほどの地下の休憩室まで戻った。


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