父と子
しばらくして、
「驚いたな。イーズス伯爵家は、武門の誉とは聞いていたが、あのような直接的なものいいをされるのか」
アリストがつぶやく。
ギルバートが、
「確かに、6歳の頃にあったのが最後ですが、お会いするたびにいつも親しげに声をかけてくださりました。エリザベス様は、姉より一つ年上でしたが、姉とはかなり違って、ちょっとお転婆で庭で剣術の練習」
しまった、貴族令嬢に言うことではと、口を押さえる。
「ははは、なるほど、さすが騎士団団長のお嬢さんだ」
「あの、侯爵様」
「父上と呼ぶ約束では?」
「は、はい、では、父上、どうされるのですか?」
「そうだな、普段なら笑って済ましてしまうところだがな、少し考えることにしよう。しかし、もし私が本当に彼女と結婚してしまったりしたら、お前の義理の母がたった4つ年上の女性になってしまうんだぞ。良いのか?」
と冗談めかして笑うと、
真面目な顔をしてギルバートは、
「私は、ゼオンでノアさんがずっと父上の結婚について心を痛めていらっしゃったことを存じ上げています。もし、父上が結婚して幸せになってくださるのであれば、それが何よりです。エリザベス様をお母上と呼ぶのも全く構いません。もし、父上と新しい母上に子供ができたら、兄としてなんでも教えます、そして、いつかその子が父上の跡を継いでくれれば嬉しいです。私は、その子を支えてゼオン領を守っていきます。」
それは、ずっとギルバートが養子の話が出てから考えていたことだった。自分は、ゼオン侯爵になるのではなく、ゼオン領を支えていきたいと。
まっすぐに自分を見るギルバートを見て少しひるんだ公爵は、
「ありがとう、その気持ちだけで十分だ。でも、わかったよ。私も、最近は、このままではいけないと思っていたからね。エリザベス嬢とは限らないが結婚について考えるようにしよう」
とギルバートの肩を軽く叩いたのだった。




