婚約式
その後、二人は王都に向かうこととなった。エマと離れるのは辛かったが、ディランも高齢でありこの地を離れることはできない。ディランやまちの人たちと別れを惜しんだあと王都へ出発した。
王都新聞では、シャーロット嬢が生きていたこと、ゼオンで治療師として仕事をしつつ、ハーブの振興に多大な影響を及ぼしたこと、今回の暗殺未遂事件解決のきっかけになったのは、シャーロット嬢が治療師として捕虜に治療を施したことがきっかけだった事、そして、シャーロット嬢を6年間忘れられずにいたアーサー卿が再度プロポーズをして婚約することになったことが大々的に書かれて、世紀のラブロマンスとして語られた。
王都では、アーサーの強い希望もあり、すぐに婚約式が行われた。髪の毛は、元々の金色に戻り、婚約式のための白いドレスにアーサーの瞳の色によく似たサファイアのネックレスとイヤリングをつけたシャーロットは、ため息が出るほど美しかった。王太子夫妻も参列され、特に妃殿下は初めて会うシャーロットを気に入り後々王宮にも招くほどであった。
「シャーロット、愛している。君を永遠に愛する」
「アーサー、私も愛しているわ。お願いだから身体を大切にしてね」
婚約書にサインをした二人は、晴れて正式な婚約者となったのだった。
多忙の中でも、アーサーは、最低でも3日に1回はシャーロットに会いにゼオン家の王都の屋敷に赴く。必ず、花束を携えたアーサーが馬に乗ってゼオン家に向かう姿は王都でよく目立ち、社交界でもあの氷の騎士がと驚かれた。
王都では、ゼオン侯爵家の養女として社交界にデビューしたが、必ず、アーサーがシャーロットがパーティーに参加する時には同行した。また、その際の、アーサーがシャーロットしか眼中にないほど溺愛し、他の男を一切近づけず、睨みつけてくる姿を見て、アーサーとの結婚を夢見ていた多くの令嬢が早めに諦めたのだった。
シャーロットは、ゼオン侯爵家で家庭教師をつけてもらいながら大学への入学のための勉強を続けた。すでに、前世で医大の卒業目前だった美咲にとってこの世界の大学の試験問題は楽勝である。しかし外国語や政治経済などは別問題である。シャーロットとして学んでいた外国語のレベルは初級クラスであり、一からの勉強となる。時折、アーサーにも教えてもらいながら学んでいく。
ギルバートは、ゼオン侯爵の養子となり、貴族学院に試験を受けて、編入を許された。本来の13歳の学年より2学年下の生徒とまずは一緒に勉強することとなったが、わずか数ヶ月後には、元の学年での勉強が許可された。
シャーロットは、大学の勉強と同時に、治療師のための教科書も図書館に通いながら作成し、そのレベルの高さは、大学の医学部でも驚かれるほどであった。特に、女性の体のサイクルや出産の仕組みについて記載されており今までそれぞれの産婆さんの経験だけに頼っていた出産は画期的に変わっていく。
女性が作った教科書が治療師の学校で使われるようになる。そして、女性が治療師として働くことに社会が肯定的になり、治療師学院には、治療師になりたいという女性の志望者が増えていったのだった。




