忘れな草の栞
いよいよ再会です
今、裁判の新聞を読んだばかりだ。
それなのに、すでに目の前にアーサーがいる。急いで王都から来たに違いない。やや髪の毛は乱れた状態だ。エマとノアがそっと外に出てドアを閉める。
「アーサー」
「シャーロット、手紙をありがとう。あの手紙に書いてあった通りに会いにきたよ。話し合いたいと書いてくれていただろう。嬉しかったよ。」
微笑みながら、アーサーが、そっとシャーロットの手を握る。
「アーサー、無事でとても嬉しい。とても心配していたの。もし、怪我でもしたらと思ったら生きた心地がしなかったわ。そして、わかったの。あなたを今も変わらず愛しているということを。」
「シャーロット、嬉しいよ。私も、君のことを愛している。
私は、ギルバートとゼオン侯爵の話もお聞きした。君が、もう昔の貴族の娘シャーロットとは違う、患者を治療することに喜びを感じている独立した一人の女性であることもわかっている。
捕虜に治療を施した話も聞いた。私もいつ戦地で怪我をするかもしれない身だ。今までそんなことをした治療師はいないだろう。だが、僕は、そんな君を誇りに思ったのだ。」
アーサーは、片膝をおり、シャーロットの手をとる。
「シャーロット、私は、昔の君のことも愛していたが、いまの君のことも愛している。結婚してくれ。伯爵夫人として動かなくても良い。治療師として働きたいならそうできるように手伝う。ただ、誰かそばには護衛を付けるが…変な男が近づいてきたら危ないからな…
そして、もしよければ大学に行って医学を学ぶのだって応援する。父上の許可はいただいた。
私は、自分の好きなことをして生き生きしているシャーロットのそばにいることが一番幸せなんだ。6年間君を忘れることのできなかった哀れな男に嫁いでくれないか」
「アーサー….」
もう顔が真っ赤である。そもそも、前世の美咲は全く恋愛経験が無い。こんなに、ハンサムなしかも騎士でスマートな男性にかしずかれプロポーズされたのだ。心臓がどこかに行ってしまうと思ってしまう。それでも、美咲だからこそ尋ねる。
「アーサー、あの事故で私の中身は別人のように変わってしまったの。アーサーのことは今も愛している。でも、同時に仕事も大切と思っているの。そんな私でも本当に良いの?後悔しない?」
「当たり前だ。僕の希望は君とともに人生を歩むことだからね。 シャーロット、今日はプロポーズなのに王都からずっと急いで来たので、花も指輪も用意できていない。だが、代わりにこれを。」
アーサーが胸ポケットから出したもの、それは、9歳の時に渡した勿忘草を押し花にしたしおりだった。
シャーロットは、一筋の涙を流しながら
「ありがとう。プロポーズをお受けします。」
アーサーは、シャーロットを抱きしめ、そっとくちづけを交わしたのだった。
読者の方々から、プロポーズするなら花ぐらい用意しろーというお声が多数ありそうと思います。作者も思いますので。とりあえず、猪突猛進、後先考えずのアーサーのため起こったと思っていただければと思います。
その後、必ず花束を贈るようになったとか・・




