治療師学院の先生
「お嬢様、旦那様から、無事王太子殿下ご夫妻とともに王都に到着したと連絡が参りました。
そして、一緒に王都新聞も届きました。」
「まあ、ご無事で何よりです。安心しました。ありがとう、ノアさん」
新聞を読んでびっくりする。なんてこと、今回の王太子殿下の暗殺計画にゲルトランが関与していたなんて、しかもあの時の男達が今回殿下を暗殺しようとしていたと。ケント領の屋敷はゲルトランによって麻薬の栽培地となってしまっていたことも書かれており愕然とする。
お嬢様、なんて書かれているのですか?とエマに聞かれて、内容を説明する。そして、2週間後に裁判が開かれるだろうということも説明する。
しかし、二人ともショックなのは、ケントの屋敷が麻薬の栽培地となってしまっていたことである。
「ウィリアムやハンス爺、みんな大丈夫なのかしら。」
エマは、
「ウィリアムさんはそんな悪事に加担するような人じゃありません。きっとお屋敷をやめて何処かで過ごしていますよ。きっと大丈夫です」
と慰めてくれる。
しかし、一旦麻薬の栽培地となってしまったのであれば、それを普通の土地に戻すのは何年も時間がかかるに違いない。おそらく領地は没収されてしまうに違いない。ギルバートはどうすれば良いのだろう。これもアーサーと相談しなくてはと思う。できれば貴族の学校にいかせてあげたいけどとも思う。
「お嬢様、治療師学院の先生が来られております。」
「ありがとうございます。お通ししてください。」
「エミリー先生、噂には聞いておりましたが、本当に実は、貴族のお嬢様だったのですね」
と学院で教師をしてくれていたエドガーがシャーロットとあって呆然として話す。
「その節には、本当のことを話せず申し訳ありませんでした。そしてあのときにはご指導ありがとうございました。」
「いやいや、あの時からすでに私があなたに教えるものなんてほとんどなかったですから。今回、エミリー先生がゼオンに戻ってきて侯爵家で過ごされていると聞いて、ぜひ学院で教えてもらえないかと思ってきたのですが、お会いしてちょっとやめたほうが良いんだなとは思いました。ただ、代わりに、教科書を作ってもらえないかとお願いできればと思います。」
「まあ、なんて素敵なお話でしょう。教科書も作りますが、教えに行くのもぜひさせてください。」
「いやいや、こんな素敵な方がきたら護衛兵が常にいないと心配になります。それについては侯爵様の許可をとらせていただきます。まずは、教科書の作成をお願いします。」
シャーロットは、どうしてみんなそんなに過保護なのかしらと首を傾けるが、シャーロットの後ろに立っていたノアとエマが大きく頷く。
シャーロットは早速、教科書の構想を練る。なんと言っても、コンピューターはないので手書きである。おそらく1冊作ったらそれをもとに印刷がされるはずだ。やるからには、きちんとしたものを作りたい、頑張ろうと思う。
できれば、出産や女性の体のサイクルについてもいれたい。今は産婆さんが自分の経験だけでやっていて教科書も何も無い。そうすれば、女性で出産する人の参考にもなる、女性で治療師や助産師さんになりたい人もでてくるかもしれない。
あとは、できれば、ここの常識からあまりかけ離れたものを書くのは良くない、美咲としての膨大な知識は、ここでは異端と言われるレベルになってしまう。
できれば、この国の医学書を読みたいわ。侯爵家のお抱えのお医者様に頼んで読ませてもらえないかしら。それとも王都の図書館に行けば可能になるのかしらと思う。
これからどうするのか、どうしたいのか本当に考えなくてはねと思うのであった。




