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裁判2

騎士団の弁護士が、


「最後にもう一つの罪状です。ゲルトランが、偽造した手紙でケント前子爵を雨の中出発するようにし、土砂崩れを人工的に起こして、子爵をはじめとした12名を殺害した罪状です。そもそも、前回のこの殺人がうまく言ったから、王太子殿下暗殺も同様の手口を行おうと思ったのではないか?つまり、この最初の殺人が、今回の暗殺計画の立案に繋がったと思われます。」


ランバート商会から偽の手紙が送られて来て、ケント子爵一家が雨の中出発したこと、ランバート商会をクビになった男がゲルトランに金を無心していたこと、その男が亡くなって見つかったこと、どうやら麻薬中毒で死んだらしいことを説明する。


「バカなことを、私は一切存じ上げませんな。そもそも土砂崩れなんて偶然起こるものではありません。確かに爵位は継いだが、事故まで自分のせいにされるのは心外というもの。しかもその平民の男が私に金を無心したと言われても何のことやらわかりませんな。」


「そもそも、私やそこにいるジョン達がその12人を殺害したところを見た目撃者でもいるんですか?勝手な想像で言わないでもらいたい。なんでもかんでも私のせいにしようとするとは。」



ゲルトランがふんと笑う。


「裁判官、証人を当方は用意しております。証言させてよろしいでしょうか?」



「許します」

と裁判官が頷く。


ドアが開いたと思うと、一人の若い少年が歩いてくる。立派な貴族と思われる少年がゆっくりと裁判官の前に歩いてくる。


裁判官が驚く。

「君は・・・」


少年は、前ケント子爵によく似ているのである。


水を打ったように裁判所が静かになった後、急にガヤガヤとし出す。


裁判官が、「皆、静粛に」

と声をかける。

「証人は名前を名乗り証言しなさい。」




「裁判官、私は、前子爵ロバート ケントの嫡子、ギルバート ケントです。

私は、あの日、土砂崩れにあいましたが、負傷したものの姉とともになんとか生き延びました。ですが、ゲルトランとそこにいる男どもが、まだ怪我をしたものの生きていた護衛兵やメイドを殺し、私と姉に崖から河に飛び降りるか、両親や護衛兵のように、頭に石をぶつけられて死ぬのかどちらか選べと言ったのです。姉には、姉だけ娼婦として売り飛ばすとも言いました。姉は、私にケント嫡男としての誇りを持てと、私に全てを委ねなさいと言って、二人で河に飛び込みました。


幸い、私たちはなんとか生き延び、河から岸にたどり着き、近くの村人に助けられました。その後、追っ手が来るのを恐れ、平民に身をやつし今まで生きてきたのです。」




「嘘だ!こんな平民の言っていること、嘘に決まっている。」

とゲルトランが叫ぶが、兵隊に抑え込まれる。


「ゲルトラン、お前は、あの時姉に言ったな。姉だけ生かして、私と両親が死んでしまえば自分の息子のヘンドリックと結婚させることも考えていたと、だけど婚約者のイーズス伯がうるさいので全員殺すことにしたと。」


「そして、そちらの男は下卑た目で姉をみて、姉だけ奴隷にすれば将来娼婦として売れるとまで言って私たちを捕まえようとしたのを忘れたというのか!」



聴衆がガヤガヤと騒ぐ。


ゲルトランとジョン達は

「本当に生きていたとは…」

と呆然と膝を折り座り込む。


「静粛に、確かにこの少年は、ロバート ケント子爵によく似ておられる」


「イーズス伯爵、ご子息のアーサー殿はロバート ケント子爵のご息女と婚約されており、ロバート殿の親友でいらっしゃった。こちらの少年がギルバート ケント君であることは間違いないですな?」


イーズス伯は、

「間違いないです。我々が、ギルバートを間違えるわけがないです。すでに、彼とは話をしております。」


裁判官は、頷き、話し始める。


「ゲルトラン、このような生き証人を前に無罪を主張するとは情けない。ゲルトランそしてその妻子、および兵士ジョンをはじめとするこれらのものを前ケント子爵夫妻とその使用人の殺人、そして王太子殿下妃殿下暗殺未遂、違法麻薬の栽培、売買で死刑とする。」



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