シャーロットはシャーロットだ
「ありがとうございます。お気持ちをきいて安心しました。僕も、エマもずっと、アーサー兄上は、姉様を諦めたりしないと言っていたんです。」
「兄上、昔は、アーサー兄上にとても慕われている美しくて優しい天使であるところが自慢の姉だったのです。今は、自立していて頭が良くて人のために一生懸命に動くところが自慢の姉なんです。姉に、どんな形でも良いので、仕事を続けさせてあげてくださいませんか?」
「ギルバート、私はシャーロットが死んだと聞いた後も6年間忘れられずにいた男だ。シャーロットが生きていて、自分のことを思ってくれているのがわかればあとはどうでも良い。シャーロットは、シャーロット。彼女の全てを受け入れるつもりだ。治療師としてひたむきに頑張っている姿をみてシャーロットとは知らない頃だって好感を持っていた。
ただ、シャーロットを自分の腕の中にずっと閉じ込めていたい気持ちはまだどうしようもなく残っている。ああ、情けない男だと言うのはわかっている。だが、きっと乗り越えてみせる。
先程、王太子殿下と侯爵からも、伯爵家としてどうしたいか考えろと言われた。父上の前だったので即答は避けたが、もし、伯爵家にはふさわしくないと言われるなら、自分が嫡男を辞めるだけだ。」
「兄上・・本当によろしいのですか?私は、兄上が、子供の頃、将来騎士団長としてこの国を守ると誇らしげに話されて練習されていたのを覚えています」
「ははは、騎士団長は世襲制ではないぞ。嫡男でなくっても、自分の実力が高ければなれる。なれなければ、自分の実力がそこまでだったと言うことだ。気にする必要はない。そもそも、今回、ゼオンに来る前に、いい加減にシャーロットのことを忘れて結婚しろ、そうでなければ嫡男を次男に変更すると言われていたんだ。もう その話を聞いたときに、嫡男を弟に譲るつもりでいたのだ。
大丈夫、治療師をしている事で、社交界で馬鹿にされるようであればそんな社交界には出なくて済むようにすれば良いだけだ。」
とさらに力説する。
ボソリとオスカーが
「本当に、若はシャーロット様のことだけ半端ない・・」
と呆れている。
「無論、シャーロットが自分のために私の将来を潰したと思わないように、父上を説得する。安心してくれ。シャーロットの気持ちを無視するようなことは絶対ない」
とギルバートの両肩をガシッと掴む。
「兄上、ありがとうございます。よろしくお願いします」
ギルバートは、やはり兄上にお任せしてよかったと感動するのだった。
ギルバートは、ふふっと笑いながら、
「どうも、ペリエでは、釣りまで始めたみたいで。エマはそれを知って、ものすごく姉に怒っていました。お嬢様はそんなことしてはいけませんって。
本人も自覚はしてるみたいなのですけど、とても楽しいの、エマもやったらわかるわよなんて言って更に怒らせていましたから。」
「釣り、女性がありえない・・・」
とオスカーが絶句している。
アーサーは、
「別に、釣りをしようが、泳ごうが、私は構わない。他の男と一緒じゃなければ。そうか、釣りが好きなんて初耳だ。
イーズスの領地には湖もあるし、川が流れていて、ルアーフィッシングが可能だからな。一緒にやれるな」
「若・・とことん前向きですね」
3人で、この7年間のことを話して夜は更けていったのだった。




