アーサーの気持ち
アーサーは、ギルバートに
「ギルバート、今日は、私もここに泊めていただくことにしたんだ。できれば、この6年間の話を聞かせてくれないか。シャーロットがやってきたこと、昔とは違うところ、シャーロットの好きなことなんでも良い。無論、会ったときに彼女に聞くに決まっている。でも、それまでに少しでも彼女のことが知りたい。」
と頼む。
ギルバートは、
「はい、僕もペリエに行った後のことは全てわかるわけではないですが、それまでのこと、お話ししたいです。姉がいなければ、僕は今生きていないし、本当に自慢の姉なんです。」
「では、このあとは別室でお過ごしください。侯爵からも、ゆっくり過ごしていただくように申しつかっております。積もる話があるでしょうとの事です。」
と侯爵家の執事が手配してくれることとなり、イーズス伯のみ帰ることとなった。
イーズス伯が、アーサーに、
「ギルバートに色々と話をよく聞け。お前は、昔からシャーロットのことだけは冷静になりにくいやつだ。イーズス家の嫡男としての立場も忘れるなよ」
と声をかけた後去っていった。
ギルバートは、アーサーとオスカーと3人で自分の部屋で話をする。
侯爵や王太子に説明したのと同じように、今までの経過を説明する。
よくわからないけど、姉がなぜか泳げたこと、そして偶然エマに助けられたこと、王都に向かうにはリスクが大きいと判断したこと、ゼオンで平民として過ごすようになり、治療師となったこと、そして、ゼオン侯爵家の庭のハーブを整えたり、ゼオンのハーブの産業が活発化するように肥料や機械を考案したりしたことを話す。
横で聞いているオスカーは
「え?全く別人の話じゃないですか?」
と驚いている。
ギルバートは、
「僕も本人に聞いたことがあるんです。そうしたら、事故の時に頭を打ったせいかもねなんて言って笑っていました。」
「姉は、とても活動的にどんどんなっていった気がします。ペリエに赴任したらさらに活動的になってしまって」
とギルバートが話したところで、
「ギルバート、正直に話してほしい。実は、エミリーにはすでに新たに好きな人ができたりしたのではないか?もしや、ゼオン侯爵殿とか?」
アーサーが不安げに尋ねてくる。
「え、そんなことはないと思います。そもそも侯爵様はかなり年齢が離れてます。ずっと、働いてばかりで、そんな話は一つもないです。そもそも、姉はずっとアーサー兄上のことを思い続けていましたから」
「そうか…すまん、疑心暗鬼になってしまったようだ」
「いえ、お気持ちはわかります。姉は頑固ですから。ゼオンに到着した当時から、僕もエマたちもアーサー兄上に連絡をとるべきだ、手紙を出せばもしかしたら受け取ってくださるかもしれない、なんとか連絡を取ろうと提案していたのです。でも、姉は、アーサー様に迷惑をかけたくない、もう社交界で婚約者ができているかもしれない、自分たちで裁判所に訴えられるようになるまで頑張ろうとか言って連絡を取ろうとしませんでした。」
「シャーロットがそんな風に思っていたなんて、私の不徳の致すところだ。私が彼女が亡くなったからと聞いてすぐに新たな婚約者を探すと思われていたとは・・・もっともっと如何にシャーロットが大切か愛しているか話しておくべきだった」
オスカーが
「いや、9歳の子供に言うのはちょっと・・・」
後ろで呟いている。




