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王都への準備

ペリエの街が襲撃されたことは、ゼオンの町中で噂になっており、心配で仕方なかったジルは、侯爵から呼ばれて慌てて向かった。


「おお、ジル、安心しなさい。エミリーは大丈夫だぞ。」


「ああぁ、よかった。ありがとうございます。ホッとしました。怪我もしてないのでしょうか?」



「ああ、大丈夫だと聞いている。今は、治療院で負傷したものの手当に携わっているはずだ。」



「あの、役に立たないのはわかっていますが、ペリエまで行かせていただけませんか?少しでも、姉の手伝いがしたいのです。」


「ふむ、そうだな。ただ、支援のための物資などを用意するから、もう1、2日待ちなさい。薬品や食料品の準備も必要だ。まずは、そちらを手伝うべきだろう。まして、ここには、王太子殿下ご夫妻がこられている。明日には、おそらく王都に出立される。今回我が領地で起こったことだ、監督不十分と言われる可能性もある。次の領地まで、私もご同行するつもりでいる。」


「わかりました。すぐに手伝ってまいります。姉のことをお教えいただきありがとうございます。」




王太子殿下が急遽王都に戻るための準備が急ピッチで行われる。兵士の休息、武器の手入れ、馬の手配など準備しないといけないものは多数ある。


翌日、午前中には、砦に残っていたアーサーとその一隊がゼオンに戻ってきた。


戻る途中、アーサーはオスカーに、エミリーがシャーロットだったこと、そして、一緒に王都に行こうと思ったが、本人に断られたことを話した。


「なんと、あの治療師さんが、シャーロット様、信じられないですよ。若のシャーロット様に関する勘の良さにも驚きますが、あの可憐なシャーロット様が、負傷兵の傷をチクチクぬっていたなんて衝撃です。」


首を左右に振りながら、

「いやあ、言葉にならないですね。しかも、伯爵夫人になるのを断るなんて・・・」とため息をつく。


「断られたわけではない、自分にはもう不釣り合いだと言われただけだ。」


「いや、それを断られたという・・」

ギロッと睨まれる。


「わかりました。でも、納得しました。ゼオンのエマの店で見た少年は、ギルバート様だと思います。ケント子爵に似ている子がゼオン侯爵のところで働いているのを見ましたから。」


「お前、そんな重要なことをなんで今まで」


「いや、こんなところにギルバート様がいるなんて思わないでしょう。似てる子がいるなぁぐらいで。後で言おうとは思っていたんですけどね」



ゼオン侯爵の屋敷に到着する。


「お待ちしていた。王太子殿下妃殿下には御休息をとっていただいている。アーサー殿も休息をとり、その後、急ぎ王都へ出立を。私も途中まで同行しよう。」


「侯爵、感謝します。その前に貴殿のところにいるエミリーの弟と会いたいのですが。」



「ジルにか?ジルになら、もう姉は大丈夫だったことを伝えたが・・」


「いや、そうではなく、実は、エミリーはシャーロット ミリア ケントという名前で私の亡くなったと思っていた婚約者なのです。そして、ジルは、ギルバート ケント 、前ケント子爵の嫡男なのです。」



「え?そんな、本当に? ノア!ジルを呼んできなさい。」

驚きつつ指図する。


「そうか、平民とは思えない振る舞いとは思っていたのだが…氷の騎士がずっと忘れられずにいた亡くなった婚約者がエミリーだったとはな…」

と侯爵が頷いて考え込んでいる。



オスカーはいいやつなんですがちょっと天然で、頼りになるような、あと一歩な残念な人です。でも、アーサーのまっしぐらな性格をサポートできる貴重な人物でもあります。

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