シャーロットだ
ようやく気がついたアーサーです。
アーサーは残党狩りのために街中に入る。
うわあ、騎士団だ、逃げるぞと海賊たちの声が聞こえる。
「いいか!残党は抵抗する奴は、全て殺せ!降伏する奴は捕らえろ!」
兵士に命令しつつ、馬で街中を掛ける。
エミリーと治療院は大丈夫だろうか?
治療院へと向かうと、前から女が走ってくるのが見え、その後ろから海賊らしき男が追いかけてくる。 つまずいた女を海賊が捕まえようとしている。
「エミリーか!」
頭に血がかっと昇る。弓矢を海賊に放ち、当たったところで、一刀両断する。
そして、馬から降りて、兵には
「治療院にむかえ!まだ海賊がいるかもしれん。注意しろ!」
と命じる。
そして、地面につまずいたエミリーに声をかける。
「大丈夫か?」
エミリーは、震えて動けない、涙がこぼれている。そして小さな声で、
「アーサー、アーサー」
と自分を呼ぶ。
また、かっとなる。自分は、名前など教えていない。なぜ、私の名前がわかるんだ。それに、この声・・・メガネも外れている・・
動けないエミリーを支えて立たせるが、まだ、震えていて声が出ないようだ。
こちらの方を目に涙を浮かべながらじっと見てくる。
シャーロット?まさかシャーロットなのか?シャーロットは死んだはず。
こちらも驚いて声が出なくなる。
後ろからやってきた、兵がエミリーに治療を頼むと、はっと気がついたように、
「大丈夫です。」
と微笑んだと思ったら、治療院にまた走って戻って行った。
微笑んだ顔を見て、確信する。シャーロットだ!間違いない、シャーロットだ。
生きていたんだ。なんということだ。思わず両手で口をおおう。息がつまるような思いがする。
すぐに迎えに行きたいが、まずは、殿下妃殿下の警護が優先だ。
「治療院に護衛兵をおけ。負傷者が多いはずだ。必ず守れよ!」
命じて自分は砦に戻る。
「殿下、妃殿下、侯爵殿、襲ってきた海賊とドルミカ国の兵隊のほとんどを鎮圧いたしました。残りは、残念ながら逃げてしまいました。申し訳ありません。」
「良い、十分だ。深追いは禁物だ。海賊を殲滅しただけでもよくやった。ペリエの街の住民の被害は大丈夫か?」
「はい、残念ながら、何人かは亡くなり負傷したものもおりますが、町は今、残党も捕縛したことから落ち着きつつあります。」
「さすが、アーサーだ。よくやった。しかし、この状況を考えるとこのままエクア王国に行くわけにはいかない。一旦ゼオンに戻り、その後王都に戻った方が良いと思われる。ドルミカ王国への対応も考えないといけないからな。」
「はい、殿下。まずは、ゼオンにお戻りください。私は、今日は、このまま再度の襲撃がないか、ここに残ります。明日、ゼオンから兵が派遣されたら交替してゼオンにまいります。」
ゼオン侯爵からも
「アーサー卿、我が領土であるペリエを守ってくれたこと、深く感謝する。本当にありがとう。ゼオンに戻ったら、すぐに交代の兵を手配するのでそれまでよろしく頼む」
と礼を言われる。
王太子殿下、妃殿下がゼオン侯爵とともに安全にゼオンに戻るように手配した後、砦で、警備の状況を確認する。
「再度の襲撃がないとは言えない!住民は、避難所に避難を。治療院にはけが人が多くいる。周囲の警護を怠るな!」
各部署に指示を出して行く。その後治療院へ向かう。
「副団長、どちらに向かわれるのですか?」
「オスカー、私は治療院に行ってくる。それまで砦を守ってくれ。」




