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貝毒

そうして、5名の兵士の診察をする。

「そうですね。みんなおんなじ症状で、時期も一致。今朝召しあがったもので貝類はありましたか?」



皆が頷く。「ちょうど貝の焼いたものを売ったものを食べました。ちゃんと加熱していたので大丈夫と思ったのです。」



「加熱したものを食べようとした点は素晴らしいです。でも、貝毒といってこの時期の貝は貝の中に毒の成分を溜め込んでいるものがたまにいるのです。

加熱してもお腹を壊すので、注意が必要です。貝によっては下痢だけでなくて舌のしびれや手足の麻痺が起こる場合もあるのですよ。」



「なんと、じゃあ、貝を食べられないじゃないか。この辺りの海沿いの人たちはどうしているんだ。」



「残念ながら一度そういう貝が発生したとわかったら、しばらくみんな貝を食べないように注意しているのです。それと、下痢はまだマシですが、麻痺が起こると命に関わるので、時折ネズミに食べさせて死なないか確認したりします。定期的に試して、死なないとわかったら、安全になるので、ちょっとその時期は、貝は食べないようにするのです。」


前世で海の近くに住んでいた美咲は、漁業の人たちが貝毒の連絡が来たと嘆いたり、解除だそうだと喜んでいたこと、そしてその原因が、毒素を持ったプランクトンを貝が食べることで発生していたのを知っており、マウスを使って検査することを知っていた。


「ネズミに食べさせて安全を確認するだと?そんな不思議なやり方聞いたことがないぞ。」


とびっくりする。


「平民にとっては、ネズミは大敵ですからね。子供たちがネズミ捕りを仕掛けてネズミを捕まえてくるので、それに貝をやってみるんです。死んだり吐いたりしたら食べてはダメということになります。


私たちの港では、今はもう、貝毒で体調を崩す人はいないのですが、隣の領だとまだ、そういった知識は十分普及していないのでしょうね。」



周囲のものも頷いているところをみると、これは、この辺りの常識らしい。


「さあ、いずれにせよ、貝毒に治療薬はありません。こちらのびんに入った飲み物を飲んで宿舎でお休みになれば数日でよくなると思います。」


「もしよろしければ、体調の悪い方だけ残されれば他の方々は先に出発できると思います。」


「この飲み物は?」



「嘔吐した人や下痢になった人は、体の中の水が足りなくなります。この飲み物は、ろ過して沸騰させた水を使って、糖分と塩分を足してあるので、ただの水より体に吸収しやすいのと、お腹に優しいのですよ。」


と説明される。


「ふむ、わかった。君の意見にここは従おう。我々は貝毒という言葉すら知らないのだからな。」


ありがとうございます、では、用意しますねと生き生きと動くエミリーと他のスタッフをみる。吐き気の強い兵士の介抱をして、水分を飲む手伝いもする。


こんなに、凛とした態度で私と話す女性は初めてだな、生き生きと動く姿も印象的だと心の中で思う。ただ、吐き気の強い兵士の介抱する姿を見るとどうも不愉快になる。なぜだ?


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