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 邂逅

馬であれば2時間かからず到着できる距離だ。午後には到着した。


ペリエに到着する。ペリエは港町で、王都と比較すると気温も暖かめである。カモメの鳴き声や魚の荷下ろしをしている漁師の掛け声、船の音も聞こえてくる。

街の入り口の検問では、すでに兵が揃って騎士団の到着をいまかいまかと待っている状態で、アーサーが馬をおりた瞬間に一斉に敬礼した。


「よろしく頼む。ペリエは港町で、いざという時には海からの攻撃にも備えればならん。一つ一つ確認していくぞ。」


「は!ペリエ護衛団の隊長をしておりますピーターです。ご案内いたします。」


ピーターは、砦を案内し、見張り台から海を24時間監視している事を説明する。


「ここは、55年前に戦争となったところです。ペリエの住民はあの時のことが忘れられません。ですから海からの襲撃に対する警戒心はよその街より強いです。」


と説明する。

「医療体制はどうなっている?」



「申し訳ありませんが、この街のレベルだと医者はおりません。治療院は1箇所しかないです。なかなかきてくれる治療師がいなくて、ようやくこの2年で治療師が2人になったのです。

ですが、中身は充実していて、新しい治療師が女性なのですが、腕が良い上に色々と治療を考案するので、評判は良いです。」



「ふむ、一応、治療院は見学しておこう。」



ピーターとともに、治療院に到着して、身分を明かした後、治療院を見学させてほしいと依頼する。受付の女性が愛想よく案内してくる。

院長がやってきて、


「ご足労いただきありがとうございます。何なりとお申し付けください。」


と病院の説明を長々とする。

もう一人の治療師がノックして入ってくる。

茶色い髪で非常に若い治療師である。メガネもしており、驚いたような顔を一瞬したと思ったら、目を伏せて挨拶してくる。


「初めまして。エミリーと言います。こちらの治療院で治療師として働いております。よろしくお願い申し上げます。」



と頭を下げて挨拶をしてくる。なんとなく心地よい声だと思う。


「ふむ、女性とは珍しいと今院長と話していたところだ。どこで勉強を?」

と尋ねると、


「当初は独学でしたが、その後、領都のゼオン治療師学院に働きながら通わせていただき治療師としての資格を得ました。」



侯爵領か。ゼオン侯爵は教育に熱心というからな。

院長が、本人を褒め言葉を続けているが、当の本人は、話を遮って退室しようとする。

不思議な娘だな。思い上がりかもしれないが、女性は誰もができるだけ自分と長く話をしようとするのに。


「まあ良い。治療さえきちんとしてもらえば問題ない、もう、下がって良いぞ。」



「ありがとうございます。失礼します。」


ドアをゆっくりしめて、彼女は退室して行った。


「では、院長、何かあった場合にはよろしく頼む。」



頭を下げて見送る院長を背に、護衛団のピーターと砦へと戻る。


「エミリー先生は愛想はないんですが、優秀なので安心してください。」


とかばうような発言をしてくる。


「おや、実は恋人だったりするのか?」


「まさか。そんなわけないですよ。16歳なので、狙っている男は多いと思いますが、ゼオン侯爵家の家令からも手を出すな!と厳命されているので。」



「まだ16歳なのか。しっかりしているように見えたが。それにしてもなぜゼオン侯爵が?」


「いやあ、すごく頭が良いので、11歳から治療師の学校で学んでもう独り立ちしているんです。弟がゼオン侯爵のところで、使用人の見習いをしているらしいですが、侯爵様のお気に入りらしいです。エミリー先生もハーブのこととかが詳しいこともあって、侯爵様の別荘の使用人の部屋に住んでいるんです。別荘のハーブはエミリー先生が管理しているんです。ここの治療院にくる治療師がなかなか見つからないとなったときにエミリー先生がくると言ってくれて助かった上に、侯爵様からのお声がかりですからね。誰も、怖くって手を出したりできません。」




「ははは。それはすごいな。じゃあ、侯爵家の庭のハーブを使った治療もここでされているということか。」



「そうなんです、なので治療費が安めなので住民は助かってます。」


「じゃあ、いざとなったらハーブをここからももらうこととしよう。よし、次の街に行くぞ。」



アーサーは、馬で次の視察先に向かいながら、さっき会った治療師のことが頭から消えないでいる。全然、髪の毛の色も違う、メガネだってしている、なのに、何となくシャーロットの事を思い出してしまう。ゼオンにきてから、なんでもシャーロットに結びつけてしまう自分が情けないなと自嘲する。



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