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ノアの定期訪問

「やあ、ダン、ミミ、元気かね?」


「これは、ノア様、ようこそいらっしゃいました。」


慌てて二人はお辞儀する。


「そんなにかしこまらなくても良い。いつも、お前達が別荘をきちんと管理してくれてる事はわかっている。感謝してるぞ。」


二人はほっとする。


なんせ、普段なら家令であるノア様がペリエの別荘に確認に来るなんて事は一年に一回程度のことである。

普段はもう少し下位の使用人が、自分達が何か誤魔かしたりしていないかさらっと帳簿をみて、屋敷を確認したら終了である。


ところが、エミリーさんが、治療師として赴任すると決まってから、ノア様が直々にペリエにやってきて、別荘の確認を始めたのだ。いまや、1ヶ月に一度別荘にやってきて色々と確認していくのだ。


一応、エミリーさんの部屋は使用人が使う部屋ではあるが、比較的上位の使用人が使う部屋を指定された。


当然この待遇を考えれば、自分達でも、エミリーさんと言う今度来る治療師さんが侯爵家で重要視されているかわかるというものである。


そもそも、ダンは、ゼオンのお屋敷で、エミリーと言う女性が庭の指導にきてからお屋敷の庭があっという間に美しくなったことを庭師同士の噂で聞いていたし、お屋敷の庭師のレッドが今やエミリーのことを信奉しているのも聞いていたので、新しく赴任する治療師がエミリーさんだときいて小躍りしたくらいなのである。


ミミは、エミリーの部屋を用意するにあたって、あまり豪華にはならずでも質素にもならずとノアから申し付けられた。そして、後は何でもエミリーが提案したことを受け入れるように、そして自分に後で報告するように申し付けられた。


不思議には思っていたが、その後にエミリーさんから提案されることは、今まで聞いたことのないことが多く、普段なら断っていただろうなと言うことを考えると納得したのだった。



「あの、エミリーさんなら今治療院の方です。」



「ふむ、エミリーにも今日は会って帰るか。

それで何か変わった事はないかね?」



「この間報告させていただきましたように、魚のアラを使った肥料を考案された後はまだ。今度は貝殻をつかうとは話されてました。

釣りを始められて自分で糸のリールを作られてそれを釣竿につけられるように工夫された後、どんどん腕を上げられて、今や毎日のお夕飯は魚料理です。」



ノアは、くっくっくと笑ったあと、

「釣りねえ、本当に思いもよらないことをするものだ」

と呟いている。


「あ、そういえば、不思議に思っていることが一つあります。」

とミミが思い出す。


「なんだね?」


「髪の毛の染め粉を定期的に買っておられる事です。最初は髪の毛の染め粉の研究でもされるのかなと思っていたのですが、まだ研究されているようには見えないです。

まあ、エミリーさんの事なので、これからあっと驚くようなことをされる前段階なのかなとは思います。」

と首を傾けながらミミが話す。


ふむ、染め粉ね。ただ、エミリーの髪の毛の色はジルと同じような茶色だから、確かに自分に使ってるわけではなさそうだ。何か考案する途中なのかもなとノアは考える。



「後は変な男どもがエミリーさんに付き纏ったりしてないだろうな?」


「それも大丈夫です。最初の頃は、治療院でエミリーさんに声をかけた男どもがいたようですが、そもそもエミリーさんが歯牙にも掛けなくて、一蹴していましたし、その後は、ノア様の通達が、街中に行き届いたようです。砦の兵たちも、どうやら侯爵家が大事にされてるらしいと言う噂が出回っているので手を出したりしません。」


「ふむ、ではよろしく頼む、何か気になることがあれば報告しなさい

私はこれから治療院に向かう」


と行って去っていったのだった。


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