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シャーロット15歳

ペリエに赴任してから一年が経とうとしている。


朝、ペリエの海岸でエミリーは、ぼーっと釣り糸を垂れている。ピクピク動いたのを見て、きた!と釣り竿を持ち上げ糸を引っ張る。自家製リールをくるくるとまくと、水面に魚影が見えてくる。


「おー、エミリー先生、また釣り上げたのか?先生、漁師になったほうが良いんでないの?」


20cmほどの魚を釣り上げたところで通りがかりの男が声をかけてくる。


「私も自分の隠れた才能に感動しているの。でも、これは趣味と実益であって、仕事にはできないわね」


「当たり前さあ、先生が治療院からいなくなったら困るのは俺らだからな」

と他の男が笑う。


「エミリー先生!すごいねえ、また釣ったんだああ。桶に3匹もある。僕らにも教えてよお。」


と小さい子供たちがやってくる。


「教えてあげたいけど、そろそろ朝ごはんを食べて仕事にいかないとね。また、今度ね」


ペリエは、港町で漁業も盛んである。なんとなく、前世の島の人たちを思い出すような、朗らかなさっぱりした性格の住民が多い。エミリーは、すぐに住民と打ち解けて行った。

それだけでなく、美咲の影響もあると思われる。島育ちだった美咲にとって、このペリエは、港町でもあり、懐かしい雰囲気があるのだ。



1年前に、赴任した時から多くの住民が温かく迎えてくれた。領主である侯爵の別荘にある使用人の部屋を提供してもらったこともあり丁重に迎えてくれた。

ゼオンで侯爵家でハーブ作りを手伝っていたことやハーブに詳しいこともすでに知られており、早速別荘の庭でハーブを育てることになった。



「ミミさん、おはようございます。今日は大漁だったわ。お夕飯にこれをお願いします。」


老夫婦で住み込みの別荘番をしているミミが、朝食を用意しながら


「あらまあ、今日も大漁ですね。夕飯を楽しみにしていてください」

と嬉しそうに受け取ってくれる。


「もう、エミリー先生がこちらの治療院にこられて一年経つんですね。この一年でこのお屋敷の庭もすっかり見違えるようになりましたね」


「別荘といっても侯爵様がここにこられることは無いから、もう単なるハーブガーデンになってしまっているわね」


と笑い合う。侯爵の許可を得てここで育てたハーブを治療院で使わせてもらったり、思いついたことをここの調理室で試したりしているので、まるで研究室のようである。


「エミリー先生おはようごぜえます。先月作った魚肥を使った野菜がなんだかとってもええ感じです。」


庭師でミミの夫のダンが嬉しそうに収穫した野菜を見せてくれる。


「まあ、本当に美味しそう。これがうまくいったら港町のペリエでは、肥料に困らなくなるしたくさん野菜が収穫できるわね。あと、今度は貝殻を港でもらってきてこれも試してみたいわね」


魚のアラを使った肥料や、貝殻を肥料にするのは、島で暮らしていた美咲にとって、看護師の母がオーガニックにこだわって野菜を育てていたので馴染みのあるものである。


このペリエに来てから、さらにシャーロットではなく美咲の部分が強くなっていくのを感じる。


無論、アーサーのことやジルのことは別だ。


1年前に、アーサーが国境の山賊の鎮圧に向かったときは、本当に心配したし、王都新聞で、王都に凱旋したのを読んだときには本当に安堵した。勲章までもらったと書かれており、もう婚約者でもないのに、自分のことのように喜んだものだ。


治療師として本格的に給料をもらって働くようになり1年が経った。ペリエでは、別荘に住まわせてもらっているので、お金がほとんどかからない。ジルも、後1年すれば、13歳となり見習いではなくきちんとした侍従となる。



後1年、そうすれば、王都に行こう。裁判はきっとお金も時間もかかる。頑張って貯金しておこう。どれぐらいの時間がかかるかわからないけど、そのときにお休みが取れるように頑張ろうと思っているのだった。


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