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ヘンドリック

オスカーの弟のデイビッドは、騎士団に所属しているが、貴族学院にアーサーの弟が通っていたときに、学院での訓練を手伝っていたことがあり今でも指導に通っている。


街や学院で噂を集めていくとよく聞くのは現ケント子爵の嫡男であるヘンドリックの屑っぷりである。勉強はせず、町を友人と遊び歩いている、父親からお金をもらっているせいか、友人に奢っているらしく取り巻きが意外といるらしい。


正直なところ、麻薬について調べないといけないのだが、どうも、兄のオスカーからアーサー様の婚約者だったシャーロットさまの話を聞いていることもあり、つい、ヘンドリックが何か悪さしないかにシフトしがちである。


そんなある日、ヘンドリックの後をつけて、街のレストランの個室の周囲を見張っていると、平民の若い女が一人ドアの前で部屋に入るか悩んでいるようだ。


仕方ない、横を通るようにして、わざとぶつかる。


「これは失礼しました。お怪我はございませんか?」


「いえ、あの、大丈夫…」


どんとドアが開く。

「おい、待ちかねたぞ!早く来い!」と屑のヘンドリックが女に声をかける。


「失礼しました。今、私がぶつかってしまい、怪我をさせてしまったところです。手当が必要になるので、この店の女性の使用人に手当てをさせようと思っていたところです。」


とデイビッドがヘンドリックに声をかけながら、ドアの中を見ると、


若い男性が数名ニタニタとだらけた顔をしてこちらをのぞいている。なんだ、こいつら、変じゃないか?


デイビッドが中をじっと見ていたことに気がついたヘンドリックは、ちっと舌打ちしたと思ったら、勝手にしろと慌ててドアを閉めてしまった。


女が床に倒れそうになるのを支える。

声をかけると、少しほっとしたように、大丈夫ですからと慌てて、帰っていく。ゆっくりと後をつける。そしてその家を確認した後、騎士団に向かったのだった。


「つまり、ヘンドリックが何か企んでいるということか。」


アーサーは、デイビッドの話を確認する。


「女の怯え方は異常でした。それに、どうもあの部屋にいた男たちのニタニタした顔が普通じゃなかったような、そしてヘンドリックの慌てぶりが気になります。もしかして、女を呼び出して暴行しようとでも思っていたのではないかと」


「まったく、屑な奴らだ。とりあえず、私怨もあるからそう思うのかもしれないが、ヘンドリックがもしかしたら麻薬と関与している可能性があるのかもしれん。アスコット殿にも連絡してみよう」





しかし、その3週後にその女が、池で溺れて亡くなっているのが発見されたのだった。ちょうど、アスコットたちがヘンドリックとの関連を調べていたところだった。


「残念ながら関連がわからなかった。女の死因も自殺なのか他殺なのかもわからん。しかし、その女の兄がどうも麻薬を使っていたらしいという噂がある。失踪していたがな。ヘンドリックの連れの男たちがニタニタ笑っていたというのが麻薬なのかもう少し証拠集めを進めていくつもりだ。どれも、情けないが、貴族の子弟だった」


確実な証拠となるといつも弱い、ヘンドリックも何か感知したのかあまり出歩かなくなってしまったようだった。ゲルトランのやつらが何を企んでいるのかが掴みきれないままとなった。



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