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 シャーロット9歳 2


天使のようなシャーロットと涼やかな高原にある館で1週間過ごしたあと、王都に旅立つ前日となった。許可を得て近隣の森へ二人で出かける。


「アーサー、こちらです。いらして。」

シャーロットに引っ張られながら到着した場所は、野原一面青い小さな花が咲いている。

「忘れな草なのですよ。とても、綺麗でしょ。このあたりは高地なので、咲く時期がとても遅いのですけど、それでも毎年お会いする時期にはもう枯れていて。今年は、1ヶ月いつもより早く来ていただけたので、一緒に見られるかしらって思っていたのです。よかったわ。一緒に見る事ができて。」


アーサーは一緒に見ようと思ってくれていた事にとても嬉しくなった。

「かわいい花だな。」


「花言葉は、私を忘れないでくださいなんです。アーサーは王都に帰ってしまうから。来年まで私を忘れないでくださいね。」

と足元に咲いている勿忘草を手折るとアーサーに渡してくる。


「忘れるわけがない。来年、君が王都にやってきて婚約式をするのをとても楽しみにしているよ。君も私を忘れないで。」


いつもの倍の勇気を出して伝える。


「シャーロット、君のことが好きだ。大切にする。大人になったら結婚しよう」


アーサーも同じように忘れな草を手折りシャーロットに渡す。

顔を真っ赤にしながら受け取り、シャーロットも

「私もアーサーのことが大好きです。来年の婚約式、楽しみですわ。」

と答えてくれる。


アーサーはシャーロットの手を引っ張るとをぎゅっと抱きしめた後、これ以上のことをすると、きっと出禁になるかもと思い、額にキスをした後、二人は、顔を真っ赤にしながら館に帰っていった。


館に帰った途端、オスカーには顔が赤いのを揶揄われまくったが、その時の忘れな草は、館に戻ってからすぐにしおりに作り直して本の間に挿んだ。


翌日、出立時、

「アーサー、これを」

とシャーロットからウグイス色をしたハンカチが渡された。

「私が刺繍したんです。気に入っていただければまた作ります。」


ハンカチを広げると、イーズス家の家紋でもある鷲とその周囲に忘れな草の小さな花が散りばめられていた。


「ありがとう。使うのが勿体無いな。大事にするよ。」


「いえ、ぜひ使ってください。また、お送りしますから。」


顔を真っ赤にしながらそうシャーロットが答える。


「あ、オスカーにも作ってあげようと」


「いらん」

「辞退させていただきます(奪われます)」

と即答があったのは言うまでもない。





「では、また来年、今度は王都で」

と話しながら出発したが、翌年婚約式が行われることは無かった。


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