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独立3

「何?エミリーが?ペリエで?」



「はい、旦那様、ジルは反対したようなのですが、本人がどうしても、治療師として使命感を持っているんだと主張して….」


ノアの表情は暗い。



「ふふふ、エミリーらしいではないか。まあ、ペリエは馬車で3時間ぐらいのところだし、我が領土だ。兵も駐在している。港町で活気もある。ジルも月に2回の休暇では会えるだろう。さあ、そろそろお客人がいらっしゃる頃だ。これが、このシーズン最後のお茶会だな。ラベンダー畑が本当に見事だったが、もうそろそろ終わりだな。」


「はい、今日のパーティーの終わりには一部刈り取って、お客様がたにお持ち帰りいただこうと予定しております。」



「それは喜ばれるだろうな。住民も随分ラベンダー畑を作るようになって来たな。」


「はい、乾燥させるだけでなく、ラベンダーから油を取り出す方法が考案されてから、希少価値が高くなり、随分良い産業となって来ているようです。」


「その方法を提案したのが、エミリーだからな。本当は、治療師としてよりもそう行った考案をすることに専念してくれれば良いのだが」


「エミリーに言わせれば、治療師として考えているときの副産物なのだそうで、自分は患者の治療を考えているときが一番いろいろな発想が出てくるのだそうです。」


ノアが苦笑している。


「蒸留水だったか。今まで考えつかないようなやり方で衛生的な水を作り出したのも驚きだったが、その方法の応用で、いろいろなハーブやラベンダーの蒸留水やオイルを作り出したのは驚きだったな。」


「ふふふ、本当は、エミリーはそういったことをした方が莫大な収入を得ることができるようになると思うのだが…なんというかお金の稼ぎ方がよくわかっていないな。とりあえず、エミリーがゼオンの産業に多大な影響を及ぼしたのは間違いない。まあ、治療師としての仕事が発想の原点と言われればやめさせるわけにはいかない。何を褒美とすれば良いのか困るな。」


「本人は、こういう治療に役立つことは、いろいろな人が使えるようにすることが大切だからと秘密にするという気持ちが無いようです。しかし、このような発想の持ち主がゼオンを去るのは良く無いのでは?どこか他の領地にでもいかれればゼオンにとって損失です」


ノアは心配する。


「それはその通りだが、柔軟な発想は自由だからこそ出てくるのもあるかもしれないぞ。まあ、心配しなくても、ペリエで安全に過ごせるように手配すれば良いことだ。本人には気づかれないように保護しろ。ペリエなら、別荘があるはず。

別荘に部屋を用意してやれ。ついでに、エミリーのことだ、別荘の庭も綺麗にしてくれるだろう。


ふふふ、ペリエに行くことが、さらに新しい彼女のアイデアを生み出すかもしれんぞ。

まあ、こちらにはジルもいる。ジルを置いてどこかに行くとは、あの仲良し姉弟ではありえないだろう。」


「確かに仲が良いですね。」



「そういえば、二人の素性は、何かわかったのか?」


「それがなんとも。パン屋のトーマスの従弟と言うことですが全く似てないので、町でも何か事情があってケントからここに来たんだろうと噂されているようです。」


「ご存知のとおり、あの優秀さですから。

一応、少し調べてみたところ、ケント領の前子爵のお名前がロバート殿でした。


しかし関係あるかと言われると何とも。もう、数年前に亡くなっておられますし、家族も全員亡くなったと聞いております。」


「全員亡くなってるのか。なるほど、合致しないな。まあ、これ以上調べてもあまり意味はないかもしれん。本人達も、話そうとしないようだ。大切なのは、今二人がゼオンで生活していることだからな。」


「御意」


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