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独立 シャーロット14歳

「お大事になさってくださいね。」


ふう、午後の診療が終わったわ。

「お疲れ様じゃの、エミリー」



「ディラン、お疲れ様、お茶を入れるわね。」


「いや、エミリー、ちょっと先に相談があるんじゃあ。」



「あら、何かしら?」



「エミリー、いよいよ、卒業して独り立ちできるときがやってくるのう。わしももう年をとったし、引退しようと思うんじゃ。エマもひ孫と一緒に過ごせば良いと言ってくれている。

そして、エミリーにとってはこの治療院はもう設備もボロボロだしここはもう引き払ってエミリーはもっと大きな治療院で働いたらどうかと思うんじゃ。」



「え、そんな。私ここにいようかと思っていたのに。」


「いやいや、まだ若いんじゃ。ここからのことをエミリーはよく考えた方がええのじゃ。もちろん、いつかケント子爵の名誉をギルバートに取り戻すという大きな目標があるのは知っておる。しかし、エミリー、あんたの目標はなんじゃ?婚約者と結婚することか?治療師として働くことか?この街で過ごすことか?女だということを考えると一人で開業するのは勧められん。


ズルズルここにいたらあっという間に時間はすぎるが、よく考えた方が良いと思うんじゃ。」



「ディラン…..」


一人になって考える。


将来かあ。この4年近くずっと生きて生活するのに必死でこの先のことなんて考えられなかったわ。もちろん、ゲルトランの犯罪を明らかにすることが一番の目標に決まっている。そして、2番はギルバートが子爵となり幸せになること。


でも、最近、子爵になることがギルバートの幸せなのかわからなくなってきた。そもそもギルバートはゼオン侯爵のところで仕事をしている。実は、これはすごいことで、執事のノアさんは、実は侯爵の分家の出身で子爵位をもっているぐらいなのだ。



今は、昔と違って領地を持たない子爵や男爵も多い。彼らはその教養で上位の貴族や王家に仕えるのだ。つまり、ギルバートが今後頑張れば領地はなくても子爵や男爵として侯爵に仕えたり、場合によってはテストに受かれば王宮にだって働きにいけることを意味する。もう、今となっては辛い思い出が多くなったケント領に戻る意味があるのだろうか。もしかすると領地も没収される可能性だってあるのだから。


そして、3番が自分の幸せだわ。10歳の頃の私は、生まれた時からずっとアーサーの婚約者でそれ以外の将来なんて考えたことはなかった。でも、美咲としての人格や知識が混ざった今となっては、殿方に頼ることなく自分でも働いて人に喜ばれたいという気持ちが前より強くなって来ている。


うーん、アーサーのことは今も好き、でも、アーサーから治療師とハーブのアドバイザーの仕事を否定されたりしたらどう思うだろう。前世なら、俺と結婚するんだから医者の仕事をやめろとか言われたら結婚しなかったわね、とふと笑えてしまう。


ふふ、偉そうに、そうではなく、自分はもう、一度平民に身をやつした存在。そもそも伯爵夫人になれる資格もないのだから結婚できるわけもない。もし、ギルバートが子爵となっても、小姑がいると、今度はギルバートが大人になったときに困ってしまうかもしれない。


うん、そう考えると、ここからは確かに一人仕事で生きて行くのが重要だわ。

ハーブの庭作りの仕事も良いけど、それよりはやはり治療師として多くの人を元気にしたい。


前世のドラマでは、江戸時代にタイムスリップした医師が青カビからペニシリンを開発したりして、すごいって感動したけどとても自分にはとても無理だわ。せいぜい、道具を煮沸して殺菌するとか、スポーツドリンクを作るとか、そうだ、簡単な傷の縫合ぐらいはできそうね。あとは、痛み止めとしての麻薬の考案?いやいや、それは良くないな。むしろ、悪いことに使う人が多そうだもの。

モルヒネを作り出してかえってどれだけの依存症を生み出したか。この世界の現状を考えると害になるかもしれないわ。でも、華岡青洲だって、チョウセンアサガオという植物から経口の麻酔薬を開発したって歴史で習ったくらいだから、もっと何年も研究すれば、麻酔薬は作り出せるのかも。


うーん、なんとなくやりたいことが見えて来たな。本当は、この世界でも医者になれると良いのに。将来大学に行けるなんてこと可能になるのかしら。まずは、もう少し大きい治療院で経験を積んだ方が良いような気がするわ。



あとは、王都の裁判所にゲルトランのことを訴えられるようにしなくては。そうだ、いつか、ギルバートが見習いから本当の使用人となったら、王都に侯爵が移動される時にギルバートを連れて行っていただけないかしら。そうすれば、イーズス伯にも連絡が取りやすくなるかもしれない。


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