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証拠集め

「くそっ!先手を取られたか。」


騎士団の一室である。イーズス伯とアーサー、オスカー、そしてショーンが集まっている。


「父上、フィルが何者かに殺された可能性は高く、ゲルトランに金を無心していたのも間違いがない事実です。ゲルトランが口封じに殺したと考えるのが自然です。」


「そして、そのフィルは、ランバート商店に勤めていたのが解雇されたばかり。そして、封筒を盗んだと本人が言っていたとなると、確かにゲルトランがロバート(ギルバートの父)にランバート商会の封筒を使って、あの日に無理にでも出立するようにした可能性が高いな。 しかし、証拠がない。」


とイーズス伯が唸る。


「旦那さま、フィルはどうも毒殺のようです。なんの薬を使用したかがわかると良いのですがなんとも。それと、流石に、土砂崩れは故意には簡単には起きません。あれは、偶然だったのでしょうか?それも何か工夫して起こしたのでしょうか?」



うーんと唸ったオスカーが、

「もしかして他の方法を考えていたのではないでしょうか?それがたまたま土砂崩れが起きたとか。」



「なるほど。そうなると、殺人は適応されんぞ。単に手紙の偽造だけだ。フィルという男は平民だ。下町にいるゴロツキのような平民を殺したと行っても、貴族は、白を切ることは簡単だからな」



アーサーは、手をぐっと握りしめる。悔しくて仕方ない。その手紙さえなければ土砂崩れにあわなかったのだ。そしてゲルトランはのうのうとケント子爵領を食い物にしているのだ。


「父上、殺人は証明されなくてもなんとか子爵としては不適切な男であることを証明して子爵の地位を剥奪できないものでしょうか?」



「ふむ、そうだな。犯罪としての証明は現時点では難しそうだ。まずは、弁護士と相談して、貴族としての地位を剥奪できないものか相談してみよう。ショーン、顧問弁護士を呼んで相談するように手はずをつけてくれ。」



退室後、アーサーがオスカーに声をかける。


「オスカー、お前が言っていた、実は他の方法を取るつもりでいたと言うのが正しいとすると、ゲルトランはだれかを雇っていたんじゃないか。そして、どこかで襲わせるつもりでいた可能性はあるのではないか。」



「なるほど。一人ではとても馬車を襲うということはできないですからね。もう一度、あの辺りのゴロツキなどを洗ってみる事にします。あと、周囲の住民にも何か変わったことはなかったか確認してみましょう」



「ああ、頼んだぞ。」



翌日、すぐに顧問弁護士が呼ばれ、再度相談となったが、


弁護士も苦虫を噛み潰した顔で


「こんな男、ぜひ貴族籍を剥奪してやりたいですが、証拠が問題です。しかし、おそらくいろいろな法に触れるようなことを仕出かしているのではないでしょうか?できるだけ情報を集めていきましょう。」



「よし、ショーン、オスカー、土砂崩れの周辺の確認と王都やケント領での情報収集に力を入れろ。必ず、あいつの尻尾を掴むんだ。ロバートは、私の親友で、高潔な男だった。絶対に許さん。アーサー、お前は嫌かもしれんが、社交界にもっと出て、情報を集めるんだ。わかったな。ついでに婚約者探しも始めるんだ!」



「父上、社交界に出て情報を集める努力はします。しかし、婚約者探しはお断りします。」



「アーサー、お前は嫡男だ!シャーロットのことを忘れられない気持ちはわかるが、これは全く別問題だ!いつまでも伯爵家の嫡男が婚約者もいない状態は認められない。わかったな!これは義務だ。」



3人が退室したあとも残ったアーサーに


「若....」


「わかっている。自分の立場も。政略結婚でもしなければいけないことだってな。いざとなったら、弟に押し付ける方法はあるが、嫡男としては良くない。とりあえず、いまは考えられない。とりあえず社交界には出て情報収集に努めよう。それが俺のできる最大のことだ。オスカー、お前は現地を頼むぞ。」



「お任せください。必ずや何か情報を掴んできます。」


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