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ランバート商会


ランバート商会は王都でも指折りの商会で、ドレスなど衣類を始め、宝石、土地の売買、ハーブの取引などその内容は多岐にわたっている。


30代の当主である ジョセフ ランバートが深く頭を下げて玄関で出迎えて来る。


「ジョセフ、久しいな。」



「アーサー様、御無沙汰しております。しばらくお会いしないうちに一回り大きくなられたような。新しい軍服をまたすぐに作らないといけなくなりそうですな。」



「ふふふ、よく言われるよ。」


こちらにと特別室に案内される。


「まずは、アーサー様、先日の模擬試合でのご優勝おめでとうございます。拝見いたしましたが、圧倒的な強さで入団2年しか経たないのに優勝されたこと、さすが、お父様も血を強く受け継いでいらっしゃると周囲の方々も驚かれておりました。」



「ありがとう。そうはいっても、試合には父を始めトップの方々は参加されないからな。まだ、真に一番強いわけでは無いのさ。

お前の方こそ、この数年で当主らしくなったな。父のクラウスが亡くなった後は大変そうだったが。」



「おかげさまで。この数年でようやくなんとかなってきましたが、まだまだです。今日は、どういったご用向きでしょうか?」



アーサーの身分を考えるとわざわざ商会に来ることはない。商会から出向くのが普通のことで、珍しいことである。


「確認したいことがある。前ケント子爵が受け取ったと言われる手紙のことだ。あの事件の時に、無論、騎士団から確認がいったとは思うが、本当にそちらから連絡はしなかったんだな。」



「あの時のことでございましたか。はい、確認しましたが、当方からはお手紙をお出ししてはおりません。

ご存知の通り、その前に、アーサー様からの婚約式のドレスをシャーロット様に直接お届けするため、私どもの使用人がイーズス家の方とともに伺ったのが最後でございました。ご領主様にもその時に御目通りさせていただき、次は、婚約式のために王都に来られた時に、ハーブのお取引などを相談することになっておりましたから。」



「そうか、ではもう一つ聞く。誰かが、ランバート商会の封筒と便箋を横流ししたという可能性は無いか?」



「そんな。そんなことをする使用人は当商会には一人も...」


そう言いながら、顔をしかめる。


「おや、その顔色を見ると心当たりでもあるのか?」



「封筒を盗んだという事実は確認しておりません。ただ、最近1人の男を解雇しました。出入りしていた業者から賄賂を受け取っていたことが判明したものがいたのです。」



「名前は?」


「フィルと申します。」


「フィルだと!」


アーサーが突然立ち上がったのにジョセフは慄く。


「フィルという男は、ゲルトラン男爵にどこかの家の便箋と封筒を売って金を無心しようとした男の名前と一緒だ!  オスカー!」



「はい。今から男がいると思われる場所に兵を連れて急行いたします!」



ジョセフは、呆然としながら床に座り込む。


「なんと、まさかフィルがそんなことを。それで、ケント子爵様は雨の中、出立されて事故に遭われたと。しかし、あれは事故のはず。事故が起こるとわかっていたということですか?」



「それはまだわからん。まずは、フィルを捕まえなければ。」



しかし、オスカーと騎士団が下町に急行した時、そこには、すでにこと切れたフィルが発見されたのだった。


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