8月8日
8月8日
愛する婚約者 様
ジャック様はこの夏の期間をどのようにお過ごしでしょうか?
私は社交界デビューの為に、レッスンを毎日こなしています。
学園の選択科目のダンスを選んでおいて本当に良かったと思いました。
知識として分かっていることを、自分ができるようにする為に毎日練習をしています。
この手紙を読んでいるジャック様にはツラツラと日記にように出来事を報告してしまいましたが、私は学園のダンスパーティには結局参加できませんでした。
正真正銘、王室のパーティでのダンスが初めてになります。
貴族の集まりも行ったことがないので挨拶の仕方や礼儀作法も私には自信がありません。
お父様にはお願いをして、前日までダンスとマナーの先生を呼んでもらっています。
ダンスレッスンでは普段はいているよりも高いヒールで練習をしますが、
慣れないせいで気を抜くと転んでしまうんです。
もしこれがパーティ当日だったらと考えると、とても怖くなります。
午後からは、久しぶりにお母様のお墓参りにいきました。
この屋敷から歩くと3時間以上かかるのですが、開けた丘に領地の墓所があります。
沢山太陽の光が当たり、風が吹き抜ける気持ちのいい所なんです。
小さく白い教会が片隅にあり、そこには神父様がいるのですが今日はいませんでした。
【愛しき人、ここに眠る】
お母様の墓石にはひまわりが置いてあり、誰かが先に来ていたようです。
母は私が6歳、弟が3歳の時に流行り病で亡くなりました。
もともと体が弱かったとせいだと思います。
一緒に遊んだ思い出もほとんどありません。
私の記憶にあるお母様はいつもベットの上で本を読んでいる姿ばかりです。
それでも私にとっては大切な記憶です。
以前弟にどこまでの記憶があるのか聞いたことがあります。
『多分、お葬式の時』
弟はお母様の事をほとんど覚えていません。
記憶の少ない私たちの為に、お父様が良く話してくれるんです。
お母様が好きだった食べ物。好きだった花。一緒に過ごした学園での出来事。
私がお母様にとても似ている事。
たまに、寂しい事はありますが、
お父様がいるので大丈夫なんです。
マリー




